俺の記憶ストレージ Part 1&2

寂しさは琥珀となり密やかに輝き出す

サンダー Part10:「River Of Pain」

1995年2月に「River of Pain」がシングルカットされます。

 

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全英31位で、2週しかチャートインしなかったので、そんなに英国でヒットしたわけじゃないのですが、にもかかわらず日本でサンダーといえば、この曲、というくらい人気が高い。日本ではシングルカットされてないにも関わらず、この曲の人気は飛び抜けてる感があります。サンダーってこの曲しか知らないって人もいるかも。なんせカラオケにも入ってるくらい。高すぎて歌えないけど。

 

ルークも2016年の本で

Still a very popular tune, particularly in Japan for some reason. (まだまだ人気のある曲で、特に日本ではなぜか人気があります。)

と言っていて、日本で妙に人気があることは理解している模様。

 

BURRNでは、アルバムの評価自体は悪くはなかったけど、高得点とは言えないくらいの評価。にも関わらずこの曲には「胸を締め付けられる程の哀愁あふれるメロディ」などと超高評価。

 

実際に自分もこの曲でサンダーにハマったわけで、同じように入口になった人も多いに違いない。

 

実際にこの曲がリリースされた1995年のBURRNのベストボーカル部門ではなんとダニエル・ボウズが一位。後にも先にもこれ一回のみ。別にダニーが1995年に突然歌が上手くなったわけじゃないので、要するにこの曲でダニーの凄さを知った、ということになるんだと思います。

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オールタイムなランクでは20位に滑り込んでます。ダニーより上位にオジーとかムステインがいるのが理解不能だけど。この中で3人選ぶなら、ダニー、ディオ、エリック・マーティンでしょう。

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ルークのコメント。ライナーノーツより。

同じコードを繰り返すというこういったタイプの曲は書いたことがなかった。ニルヴァーナの曲を聴いていたからかもしれない。その曲は、最初から最後まで4つのコードしかないというシンプルなものだった。イントロはまるでキース・ムーンだね。

 

皮肉なことに、グランジが大嫌いだったはずのBURRN誌上で絶賛されたこの曲、元を辿ればグランジにインスパイアされて出来た曲だったわけです。

 

ニルヴァーナのなんの曲だったんでしょうね。4コードの循環っていったら最も有名な「Smell Like ….」なんてまさにそれです。F/B♭/G#/C#の循環コード。「その曲」って言い方が気になるけど、メジャーすぎて言いたくなかった?というかニルヴァーナはそもそも循環コードの曲が多いから何の曲だかよくわからない。まあでもやっぱり「Smell Like ….」かな?AメロBメロサビ、全部同じコード進行です。このあたりも「River Of Pain」と同じですね。ちなみに循環コードの名曲といえば椎名林檎の「丸の内サディステック」なんかもそうですね。

 

ただ「River Of Pain」は完全な循環コードではないです。

イントロは、Am/F/G/D。AメロとBメロとサビは同じ循環コードでF/Em/Am/Gです。このコード進行がこの曲の基本形で、サビの最後は、F/Em/Dm/C/Gm/E。で、Bメロの最後はサビの最後の発展型で、F/Em/Dm/C/Gm/E/Aadd9/Aadd9onG#になります。

ギターソロのところはAm/Bm/C/D/C/Bm/Am/Bm/G/F#m/Cで、ブリッジはF/GonF#/G/Dm/A/G/Emかな?

ただ、スタジオバージョンだと、レギュラーチューニングではあるんですが、ピッチがちょっと気持ち悪くて、Aが440hzではないんです。正確に測ったわけじゃないけど、440Hzより少し低い。このせいで当時耳コピがしづらくて・・・。今持ってるチューナーはA=439Hzでチューニングできるんですが、当時持ってた安いチューナーはそんなこと出来なかったので、困ってました。ただ、アコースティックライブのバージョンはA=440Hzのチューニングで演奏されていたんで、そっちで耳コピしました。ただ、アコースティックバージョンは超ハイトーンで歌われるブリッジ部分がないので、そっちはスタジオバージョンでなんとか耳コピしました。

 

ハードロックと循環コードはあまり相性良くないと思っていて・・・、いや個人的な好みから外れているだけかもしれないけど、Zepの「Kasimir」にせよ、Rainbowの「Stargazer」にせよ、自分には単調に聴こえてしまってあまり好みではないんだけど、この曲の場合、AメロBメロサビと、同じコード進行なのに、サビに行くにつれてどんどん盛り上がっていくんです。高揚感って言うのかな?

 

この曲、一時期、セットリストの1軍と2軍を言ったり来たりしていた時期はありましたが(2005年頃)、基本的にはほぼセトリに入るくらい定番の曲で、ライブバージョンもたくさん残されています。

 

最古のライブバージョンは2010年にリリースされた「Live At The BBC」で、1994.12.8のロンドン、シェパーズ・ブッシュ・エンパイアでの演奏で、オーディエンスは正式リリース前にこの曲を聴いたことになります。

 

At the BBC (1990-1995)

At the BBC (1990-1995)

  • アーティスト:Thunder
  • 発売日: 2010/05/24
  • メディア: CD
 

 

実はこの曲のサビの歌いまわしというかメロディというか、それにはいろんなパターンがあって、大きく分けると、スタジオバージョン準拠の高音サビパターンと、ライブバージョン特有の低音サビパターンの2パターンがあります。低音サビパターンは、ライブだと必ず低音ってわけじゃなくて、高音で歌われることもあります。

 

(参考)2002年のライブバージョンですが、これが低音サビパターン。

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で、BBCバージョンは、リリース前なので、まだライブにかけて間もない頃の演奏。そのせいか、サビだけでなく、すべての歌い回しがスタジオバージョン準拠になってる激レアテイクです。既発音源でここまでスタジオバージョンに準拠している音源は後にも先にもこれしかありません。

 

BBC音源は2回目の解散後の2010年にアーカイブ的にリリースされた音源で、オンタイムでリリースされたものじゃなかったのですが、バンド存続中のタイムでリリースされたライブバージョンは「ライブ・サーキット」でのアコースティックバージョンが初出になります。こっちは低音サビパターンの歌いまわし。アコースティックバージョンはこの後何度もリリースされますが、高音サビパターンのアコースティックバージョンは1つもありません。

 

ライヴ・サーキット

ライヴ・サーキット

  • アーティスト:サンダー
  • 発売日: 1995/08/23
  • メディア: CD
 

 

その後にリリースされたのが「Live」でのライブバージョン。このバージョンは低音サビパターンですね。演奏はノリに乗ってて素晴らしいんですが、3回あるサビ全部が低音サビパターンなんですね。おそらくですが、ライブの後半に歌われると低音サビパターンが多くなり、前半だと高音サビパターンが増えます。かなりキーが高いのでやっぱり苦しいんじゃないかなと。とはいえ、一番キーが高いのはブリッジのメロディで、そこはオリジナルメロディのまま歌われるんで、ここのために温存している説が濃厚です。

 

ライヴ

ライヴ

  • アーティスト:サンダー
  • 発売日: 1998/02/21
  • メディア: CD
 

 

次にリリースされたのが「Open The Window, Closed Doors」という日本での解散ライブの音源で、これまた低音サビパターン。この時の日本公演は、かなりの数が組まれましたが、セトリの後半の時と前半の時があったようです。

 

オープン・ザ・ウィンドウ、クローズ・ザ・ドア

オープン・ザ・ウィンドウ、クローズ・ザ・ドア

  • アーティスト:サンダー
  • 発売日: 2000/07/19
  • メディア: CD
 

 

で、最初の解散の時の、本当に最後のライブの実況録音盤「They Think It's All Over... ...It Is Now」だと高音サビパターンになります。ここでついにこのパターンでリリースされたわけですね。

 

They Think It's All Over... ...It Is Now by Thunder

They Think It's All Over... ...It Is Now by Thunder

  • アーティスト:Thunder
  • メディア: CD
 

 

ちなみにこのCD、サンダーの英国のファンクラブ限定10000枚のリリースで、シリアル番号入りです。自分のは5176番。

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自宅の開通したばかりのインターネット(ISDN)経由で注文して買いました。この時、こういう買い方をしたのは初めてだったので届くまでドキドキでした。届いた喜びと、初の高音サビパターンのライブバージョンを入手した喜び。最後の最後でこれが聴けて良かった、とこの時は思いました。まあ、最後じゃ無くなるんですけど。

 

この時期のブートレッグだと、高音サビパターンは割と残っていて、例えば1997年初頭のツアーのブート。これはセトリの後半でしたが、3回のサビすべてが高音サビパターン。この頃ダニーは若かった。私はこの数日後の札幌公演を観に行きましたが、その頃、サビが2パターンあるという認識を持たないまま聴いていたのでどっちだったか記憶にありません。ちなみにこの札幌でインフルエンザに感染したダニーは、この後の公演はボロボロになります。確かにものすごい寒い日で、汗だくでペニーレイン24を出た後に風邪引いてもおかしくはないなと思いました。

 

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さらに、解散間際の1999年のツアーのブート。

これ凄いですよ。多分もうどこにも売ってないですが、2番めのサビだけ低音サビパターンで、あとは高音サビパターン。で、演奏もノリに乗っていて、オーディエンス録音なので音は悪いけど、史上最高の歌と演奏です。こんなすごいバンドがここから半年後に解散するとは到底思えないほどの凄い演奏。ブートなんで当然無修正なんですが、無修正でここまで歌が上手いってのは相当のものです。

 

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1回目の解散までのライブバージョンをざっと書いてきましたが、低音サビ/高音サビの割合の統計を取ってみました。あくまでも残された音源だけでカウントしているだけなので、参考記録です。

 

1994-2000 (1回目の解散まで)
  • サンプル数 18 (6 track × 3回サビ)
  • 高音サビパターン 11 (61%)
  • 低音サビパターン 7 (39%)

 

2002-2009 (1回目の再結成から2回目の解散まで)
  • サンプル数 24 (8 track × 3回サビ)
  • 高音サビパターン 6 (25%)
  • 低音サビパターン 18 (75%)

 

2012-2017 (2回目の再結成以後)
  • サンプル数 15 (5 track × 3回サビ)
  • 高音サビパターン 0 (0%)
  • 低音サビパターン 15 (100%)

 

ということで加齢と共に高音サビパターンが減少していっております。

ちなみに、全期間だとこんな感じ。

1994-2017 (全期間)
  • サンプル数 57 (19 track × 3回サビ)
  • 高音サビパターン 17 (30%)
  • 低音サビパターン 40 (70%)

 

細かい事を言うと、サビ前の「I'm Afraid」とか、サビ終わりの「Drowing in a river of pain」の歌いまわしもそれぞれ高音/低音の2パターンあります。

 

ということで名曲「River Of Pain」についてでした。

 

続く。