俺の記憶ストレージ Part 1&2

寂しさは琥珀となり密やかに輝き出す

サンダー Part5:1stアルバム「Backstreet Symphony」

 

バックストリート・シンフォニー

バックストリート・シンフォニー

  • アーティスト:サンダー
  • 発売日: 2014/01/29
  • メディア: CD
 

 

サンダーは、最近のインタビューで「まるで80年代の古いバンドのように思われてるけど俺たちは90年代のバンドなんだ」と言ってますが、1stシングルは1989年10月に「She's So Fine」にリリースされてます。なので、ギリギリ80年代に足は突っ込んでいる。

 

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そもそも1989年の7月にトイレット・ツアーという名のツアーを行っているし、11月から12月にかけても長いツアーを行ってました。この時期にエアロスミスの前座も行ってます。この頃のエアロは「Pump」の頃ですね。この時の共演が後にゲフィンを動かします。

 
その満を持してリリースした「She's So Fine」は、UKチャートで98位とまずまずの結果。「She's So Fine」はそんなにヒットしませんでしたが、自分はこの曲かなり好きです。ただ、スタジオバージョンはフルバージョンで統一して欲しかった。基本的にはフェードアウトするバージョンが標準的なバージョンなんですが、12インチシングルはフルレングスバージョン。この曲は後半の爆発的な盛り上がりを聴くための曲なので、そこでフェードアウトされると不完全燃焼してしまう。

 

彼らのディスコグラフィー上は1stシングルではあるのですが、テラプレインと地続きで考えると「Moving Target」の次がこの曲なので中々のインパクトですね。曲のポップ度でいうと次の「Dirty Love」の方が高いのでヒットを狙うにはそっちの方が良かったはずですが、あえてハードロック化したぞ!ということをアピールしたかったようです。名刺代わりの1stシングル。

 
年が明けて1990年の2/5。満を持して2ndシングル「Dirty Love」です。

 

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これは1st以上にサンダーの代名詞的な曲でして、この曲を演らないことはほぼない。98%の確率で演奏される曲です。オープニングナンバーかクロージングナンバー(またはクライマックスなどこか)のどちらかですが、クロージングで演奏された回数の方が圧倒的に多いはず。これ、2枚目にして既にハードロックってほどでもないサウンド。リフがグラムなポップ・ロック。そもそもハードロックに必須なギターソロがない。ポップって言ってもテラプレイン時代の様にテンポは早くなくてミドルテンポ。サンダーの場合、ミドルテンポがかなり多い。ハードロック=アップテンポみたいなイメージですが、そういう意味でもハードロックなのか?という疑問が残るバンドです。

 

この曲の圧巻はライブバージョンで、初期はダニーのメロディを伴った語りとルークのギターとの掛け合い漫才みたいな長尺なやりとりがあった後にイントロへ突入してました。近年は「I Don't Need Yooooou!」みたいな感じの掛け合いからのイントロ突入。客を煽りに煽ったあとに例のグラム・ロックなイントロが入ってくるんで高揚感がすごいです。曲の後半の転調後は結構ライブによって異なりますが、アドリブだったり、なんかのカバーが入ったり(Satisfactionとか)とかなり盛り上がる曲。

 

(1998年のライブ)

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日本だと「River Of Pain」が一番人気ですが(たぶん)、おそらく本国だとこれがサンダーの代名詞だと思われているはず。

 

この曲の祖先がT-Rexの「Get It On」で、

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腹違いの子供が、オアシスの「Cigarettes & Alcohol」になります。

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ま、僕は完全に「Dirty Love」派ですけどね。

 そしてこれが32位まで上昇するわけですね。

 

さらに驚くべきことに、この曲が1991年にフランスの国民的スターのジョニー・アリディがカバーしてるんですね。もう珍盤奇盤の類ですが。スマッシュヒットした、ということの証でしょう。

 

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アレンジはほぼ変わらずですが、ちょっと良いなと思ったのはホーンが入ってるところ。ホーンが入ると「Everybody Wants Her」に似てくる。キーは1音下げ。最後転調するのでオリジナルキーになります。フランス語なのでタイトルも変わってます。「Amour Facile」です。AmourってLoveなんだなぁ。「マイ・シェリー・アモール」のアモールですよね?この曲が入ったアルバムはフランスで3位になったようです。

 

1ヶ月後の3/5に、とうとう1stアルバムリリース。これが21位。

 

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これが評論家に絶賛されます。

Giving The Game Away - The Thunder Storyより引用:

 

Mick Wall


The first time I came across Thunder was in 1989, and I didn’t know they used to be Terraplane, which was funny because I never liked Terraplane. I thought they were all style and no substance, which was unjustified, really. But I had a very good relationship with EMI in those days, and they gave me a four-track cassette with ‘Love Walked In’ and ‘Backstreet Symphony’ and ‘Dirty Love’. I thought it was amazing. The music had guts and swing and soul: it wasn’t like Metallica or Iron Maiden, it was more like the music I’d grown up with, like Thin Lizzy and Bad Company. Danny’s voice reminded me of Paul Rodgers, in a totally authentic way. Thunder were streets ahead of the other bands around at the time, so I raved about them in Kerrang!

 

(和訳)

ミック・ウォール(評論家・英)

僕が初めてサンダーに出会ったのは1989年だったんだけど、彼らがかつてテラプレインだったことを知らなかったんだ。彼らはスタイルばかりで中身がないと思っていたからね。でも当時のEMIとはとても良い関係だったし、「Love Walked In」と「Backstreet Symphony」と「Dirty Love」を収録した4トラックのカセットをくれたんだ。これはすごいと思った。メタリカアイアン・メイデンのような音楽ではなく、シン・リジーバッド・カンパニーのような、自分が育ってきた音楽に近いものだったんだ。ダニーの声はポール・ロジャースを思い出させてくれた。サンダーは当時、他のバンドよりも先を行っていたので、私はKerrangで彼らのことを絶賛したんだ。

 

 

このアルバムの曲は今でも頻繁に演奏されてますね。シングル曲はもちろんのこと、「Higher Ground」「Until My Dying Day」「Love Walked In」「English Man On A Holiday」「Don't Wait For Me」などなど。捨て曲がないクオリティ。まあ好み的なところで言うと、ファストな曲はあまり聴かないですが、その他はライブの定番になるだけのことはあるなと。

 

プロデューサーはアンディ・テイラーですが、サウンド的な貢献というよりは、モチベーションの維持というか、そういうメンター的な働きをしていたようです。サウンド面はエンジニアのマイク・フレイザー。彼の手掛けたアルバムはたくさんありますが、一番サウンド面で好きなのはヴァン・ヘイレンの「Balance」かな。

 

ただ、サウンドはやっぱり多少時代を感じますね。ギターサウンドは別に良いんだけど、ドラムのリバーブが多いなと。ゲートリバーブの時期ではないんですが、その名残は多少残っているようなサウンドです。なので、アルバムを単体で聴くことは実は結構稀なんですが、これに収録されたライブ音源は頻繁に聴きます。
 

3/7 アルバム発売から2日後、ロンドンのTown & Country Club でライブを行っていますが、これが撮影されていて、おそらくこれが公式リリースされた最古のライブ映像かと思われます。FM(懐かしい)と Little Angels(これまたナツイ)のサポートで全7曲。

 

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この時の音源はBSSの2枚組にも入っています。これ、あくまでも前座なので、たまにポカンとしている客はいるものの、大入りで、客もかなり盛り上がってます。多分だけどFMとLittle Angelsの客を食ったんじゃないかなと。何しろチート級のボーカルが突然現れたんですから。

 

ダニーとルーク。

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ベンとスネイク。

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ハリーですが、サングラスじゃないから誰だかわからん。

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3/26、EMIのアメリカの配給元キャピトルから「Dirty Love」リリース。鳴かず飛ばず

ビートルズの頃からそうですが、EMIのアメリカでの配給元は子会社のキャピトル。4月に渡米してキャピトルの関係者に会いに行きましたが、あまりのやる気の無さに嫌気が指してしまったようです(その後ゲフィンと契約)。

 

4/30 シングル「Backstreet Symphony」リリース。25位。

 

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(一瞬、ユニコーンの大迷惑のPVかと思った)

 

7/2 スペンサー・デイヴィス・グループのカバー「Gimme Some Lovin'」(マイ・シャローナの元ネタ)リリース。36位。

 

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それまでのUKっぽい雰囲気はなくなり、なぜか突然のビーチ。アメリカで撮影したそうで、完全にアメリカを意識しだしています。

 

で、この時点でそろそろブレイク寸前みたいな状況ではあったわけで、その流れで伝説のモンスターズ・オブ・ロックへ突入しますが、その前にダニーの身に何かが起こる…‼︎

 

続く。