俺の記憶ストレージ Part 1&2

色事を担当する色男

Rydeenと坂本龍一

正直なところ、メディア出演をしない人ではないにも関わらず、関ジャムにテキスト出演、声もなし、という時点でもう長くはないだろうとは思っていた。さらにRADIO SAKAMOTOの最終回に代役を立てた、ということは、こちらとしても察するわけです。

なので追っていた人ほど、驚きはないのではないかと思う。熱狂的なファンとは言えない自分でも察していたのに、SNSで驚きました!とか言ってた人は、そこまでファンではないのではないかな。ファンほど覚悟していただろう。

そこまでファンではないのでは?という括りでもう一つ書くと、坂本龍一の追悼に「Rydeen」を使うと「これは坂本龍一の曲ではない」、何事だ!と言い出す人が出てくるかも、と思ったら本当に出てきたようで、ゴシップ紙がネタにしている。

www.nikkan-gendai.com

日刊ゲンダイから引用

YMOファンもガッカリ…坂本龍一さん追悼報道に「ライディーン」を流すテレビ局のずさん


先月28日、世界的な音楽家坂本龍一さんが亡くなった。71歳だった。坂本氏は映画「ラストエンペラー」の音楽で日本人初のアカデミー賞を受賞。今年1月に70歳で亡くなった高橋幸宏氏、細野晴臣(75)とともに音楽グループ「イエロー・マジック・オーケストラYMO)」のメンバーとしても活躍した。数多の名曲を世に出したが、坂本氏の代表曲といえば、「テクノポリス」「東風」「千のナイフ」「戦場のメリークリスマス」などが知られる。

しかし、坂本氏の訃報を伝える各局のニュース番組で流れたBGMをめぐって、SNSではファンの落胆の声が広がっている。多くの番組で流れたのが、高橋氏が作曲した名曲「ライディーン」だったためだ。

坂本龍一さんのニュースで代表曲に「ライディーン」を挙げるニュース番組やワイドショーが多過ぎてほんとうにがっかり。「ライディーン」は高橋幸宏さんの作曲なんだよ。ほんの2か月前にお前ら散々報道しただろうに》

《坂本さんの訃報を伝えるテレビで『ライディーン』が流れるのって、スタッフの中に坂本龍一に思い入れのある人はいなかったのか?》

《BGMがライディーンなのが、今の日本のテレビなんだな。雑にも程があんだろ》

《昨日の「モーニングショー」では、坂本龍一YMO時代の紹介に「ライディーン」使ってたんだよね。そーゆーとこがダメだよな。玉川徹は涙ぐんでたから知ってたかも知れない》

坂本龍一の訃報でYMOライディーン』を流すNHKとその他テレビ局。ご本人達の名誉のために言わせてもらうと『ライディーン』は高橋幸宏の曲です。坂本龍一の代表曲は『テクノポリス』です》

《当時の若者にとって「ライディーン」は高橋幸宏で「テクノポリス」は坂本龍一なんて、マニアックな知識ではなく常識だった。そのくらいYMOはカルチャーヒーローだった。その当時の若者が、今はTV局の管理職なのだから、無知による失敗ではなく、知った上での嫌がらせでしょう》

 などといった具合。もっとも、YMOの代表曲ではあるため、《坂本龍一死去のニュースで「ライディーン」を使ってることを非難する人が多いけど、まぁ、ヒット曲的に言えばアレだし、メンバーなんだから間違いではないのかな、とも思う》と賛成の声も僅かながらあったが……。

 死を悼むファン心理としては坂本氏の代表曲を流してほしかったと思ったようだ。

自分もSNSで見たら、本当にいた。

そもそもYMOで一番有名な曲はどう考えても「Rydeen」であり、「Technopolis」でも「東風」でも「Behind The Mask」でもない。

昔、音楽仲間とスタジオに入って、「Technopolis演ろうぜー」と言ったら「それなんだっけ?」「YMOTechnopolisだよ」「分からん」というやりとりをしたことがある。リアルタイム世代でない人にとってはそこまで有名じゃないのよ、その曲。
自分もリアルタイム世代では全然ないが、それでも昔は「Rydeen」だけ知っていた。
個人的には「Rydeen」より「Technopolis」の方が数倍好きな曲です。でも、YMOを紹介するシーンは代表的な曲を流すはずで、それが「Rydeen」なんだから、その曲で良いんですよ。

「cue」だったら、ちょっと何で?とはなるかもしれない。坂本龍一は参加してなかったし、本人は嫌いだった曲だろうし。

そもそも、「Rydeen」は高橋幸宏作曲なんだから追悼特集で流すな、というのはあまりにも作曲家至上主義が強い。

と同時に編曲軽視でもある。

編曲といっても、デモの段階でほぼ完成していてちょっとだけ口を出した、みたいのもあるだろう。
でも「Rydeen」は違うでしょ?

Rydeen」は、高橋幸宏が鼻歌で歌ったのを坂本龍一(と細野晴臣)がアレンジした曲であり、だとしたらやっぱりアレンジャーの力であそこまでの曲になったわけであり。

シン・YMOから引用

高橋「黒澤と『スター・ウォーズ』を掛け合わせたようなっていう。それで、最初の「チャンチャンチャーン」があって、マイナーで次に3度下がって、メジャー・セブンにっていうのは、キーボードで考えてたんです。それでたぶん途中のメロディーを、どっかで教授に話したんだと思う。出だしのところじゃなくてね。それを教授が、ブロック・コードにしてアレンジしてくれたわけです。それが非常に大きかった」「「街道もの」って言ってましたから。桜吹雪が散るようなイメージにしたいとかね」(ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー/ライナーノーツ)

もちろん細野晴臣もこの曲のアレンジに尽力している。

細野「「ライディーン」は別に整然と出てきたものじゃないんですよね。幸宏がポーンと提示してきたやつに、皆が反応してできた。これはアニメだと思ったんですよ。タイトルは僕なんだけど、いい加減な気持ちで付けたんですよ。それで、適当なアニメのSEを入れたり、なぜか知らないけど馬も駈けてきて、とにかくメチャクチャやったのね。もう、何も考えずにやってたんで、なぜだと言われると困るんですけど(笑)」「馬が向こうからやってくるような音にしたいって、それで「タッタカタッタカタッタカ、ババッ!」って」(ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー/ライナーノーツ)

細野「みんなの予想を上回る展開をしてきた楽曲だと思いますね。これは幸宏の鼻歌と、教授の編曲能力で、非常によくまとまった曲です。それに+αで僕が、『ライディーン』という名前を付けたり」「面白おかしくしました」(YMO GO HOME!/ライナーノーツ)

www.youtube.com

人の耳に最終的に残るのはアレンジの力なんですよ。鼻歌だけでこんなに有名になるはずがない。
もちろん最初のキッカケになった高橋幸宏の鼻歌は重要なのだけれど、同じように坂本龍一/細野晴臣のアレンジ力でここまでの曲になってるわけで、追悼でこれが流れても別に違和感がない。

Rydeen」誕生の経緯を知らない「YMOファン」が、坂本龍一追悼に「Rydeen」を使われていることに怒っているという構図が不思議でならない。
本当にYMOのファンなんだろうか?

ところで細野晴臣さんは先日テレビで見た感じだとまだまだ元気そうだが、それでもいつかこういう日が来るとして、YMOでは何の曲が流れるんだろう?

「Absolute Ego Dance」とか「Cosmic Surfin」「以心伝心」なんかは流れないと思う。
やっぱり「Rydeen」じゃないの?