俺の記憶ストレージ Part 1&2

寂しさは琥珀となり密やかに輝き出す

21th Elvis Costello (Part X) -「Secret, Profane & Sugarcane」

2009年発表の「Secret, Profane & Sugarcane」。もう発売から10年経ちましたか。

 

シークレット プロフェイン・アンド・シュガーケイン

シークレット プロフェイン・アンド・シュガーケイン

  • アーティスト:エルヴィス・コステロ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2009/06/03
  • メディア: CD
 

 

シュガーケイン、と聞いて、ジーンズを思い出したのは僕だけでしょうか。ジーンズブームだった90年代中盤によく聞いた名前。エヴィス、ヘルムートラング、シュガーケインetc。リーバイス、リー、ラングラー、ボブソン、エドウィン、ビッグジョン以外の、ちょっと高価でビンテージっぽいジーンズな雰囲気。ま、まったく関係ないですけど。シュガーケインってのはサトウキビのことなんですが、そのジーンズのせいでこのワードを聞くとアメリカを思い出します。

 

それで、初めてこのアルバムを通しで聴いたときに、これはヤバい、と思いました。これを好きになれるのか?あまりにもカントリー/ブルーグラスすぎないかと。

 

でも、カントリーはそこまで苦手じゃないんです。

ガチなカントリーは高校の頃の友達がギャロッピング奏法が凄いとかで、チェット・アトキンスを聴けと無理矢理貸してくれたり。

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(※ 「時計じかけのオレンジ」)

その人はスコッティ・ムーア、ジェームズ・バートンあたりが好きだったんですが、自分はガチなカントリーよりは、カントリー「風」な曲ばかりを聴いてました。ビートルズのカントリーのカバー「Act Naturally」とか、「I've Just Seen A Face」とか、トラヴェリング・ウィルベリーズとか、イーグルスとか、ポールのアンプラグドとかは好きで、基本的にそこまで苦手なジャンルではない。

 

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で、コステロを聴き始めてからは「Almost Blue」とか「King Of America」あたりでカントリー、時にはブルーグラス的な曲もあったので聴いてた、って感じです。

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※「Glitter Gulch」とか「The Big Lights」を聴いてたら、ナイアガラ・ムーンの「論寒牛男」も聴きたくなってくる。

 

ただ、フィドルとドブロとマンドリンが入っててドラムがないとなると余りにも本格的なブルーグラス過ぎるなぁと。大丈夫かなぁと。

 
2004年頃からコステロのテーマはアメリカ南部のものが多くなりました。アラン・トゥーサンとのコラボの場合は、黒っぽいリズム・アンド・ブルース的な路線だったのが、こっちは同じ南部でも限りなく白っぽいカントリー/ブルーグラス
ただ、コステロも言っているんですが、ブルーグラスっぽいのはアレンジというか演奏面だけ。スタイルだけブルーグラスで、曲を聴くとブルーグラスじゃない・・・いや、「Hidden Shame」はブルーグラスに近いかもしれない。まあ、とは言えいわゆるアメリカーナ志向のアルバムであることは間違いない。

 

ブルーグラスって個人的にも、そして日本ではあまり馴染みが無いと思います。自分はこういうジャンルがあるということを中学生の頃に知りました。というのは、おもちゃみたいなカシオのキーボードを持っていて、それに伴奏付きのリズムボックスが付いていて、その中に「ブルーグラス」って書いてあって、結構それが気に入ってました。西部劇で白人の保安官が馬に載って縄を振り回しているみたいな音だなーと。

 

みんな大好き Wikipedia 情報によると、

ブルーグラス(Bluegrass music)は、アメリカのアパラチア南部に入植したスコッチ・アイリッシュの伝承音楽をベースにして1945年末、ビル・モンローのブルー・グラス・ボーイズにアール・スクラッグスが加わってから後に発展したアコースティック音楽のジャンル。

1945年!戦後!西部劇の時代じゃないんです。バック・トゥ・ザ・フューチャー3でブルーグラスっぽい曲が演奏(しかもあれはZZトップだったらしい)されていたけど、あれは違う??

 

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しかも「スコッチ・アイリッシュの伝承音楽」がベース。そもそも大英帝国からのアメリカ独立が1776年で、それ以前になると、ネイティブ・アメリカンか、アフリカか、ヨーロッパのどこかがルーツになる。白人音楽なので、やっぱりヨーロッパにルーツがあるわけで、辿っていくとそこに行くわけか。そういえばアイルランドとかスコットランドで使っている楽器って、似てる。管楽器は無いけれど、フィドル(バイオリン)、バンジョーマンドリン、ギターなどなど。特にフィドルが印象的。「スコッチ・アイリッシュの伝承音楽」はどこか牧歌的なイメージはあるけれど、ブルーグラスはとにかくテンポが速い。ジャズでいうならチャーリー・パーカーの頃のハード・バップ、メタルで言うならスラッシュ・メタルみたいなイメージ。

 

一番有名なのが「Foggy Mountain Breakdown」なのかな。バカテク過ぎる。インペリテリもビックリ。

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こっちは割と最近の録音で近代的な演奏。

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真ん中で座ってとてつもないスリーフィンガーでバンジョーを弾いているのがこの曲を作ったアール・スクラッグスという人です。が、妙に存在感のあるレオン・ラッセルが気になる・・・ 。

 

でも実はポール・マッカートニーも演奏してた「Blue Moon of Kentucky」もブルーグラスらしく(これはカントリー寄りかと思ってた)、実は未だに良くわからないジャンル。でもあのバージョンは入り口がビル・モンローのスローアレンジで、後半から突然テンポアップして、プレスリーアレンジになる。後半の方がブルーグラスっぽい。

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ブルーグラスって基本的にはドラムが無いんですね。ビートは弦楽器で刻む。現代ポピュラー・ミュージックの頭で考えるとドラムが必須と思ってしまいますが、ドラムがない。

 

このアルバムに参加したメンバーですが、ドブロがジェリー・ダグラス。

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ドブロというのは、ギブソン内のブランドの名前だそうで、種類的にはリゾネーター・ギターというらしいです。リゾネーター・ギターというのは、アコギのボディトップに金属が貼り付けられて、そこが共鳴して音が鳴るというもので、金属なので木だけのギターよりもキンキンした音がします。これをスライドバーを使って弾くことが多いので、オープンチューニングすることが多いとのこと。スライドバーなので、フレットが減らなくて良いですね・・・。そもそもフレット要らない気もするけど。スチール・ギターもそうだけど、フレットレスで良い気もするけど、スライドバー使わないこともあるんですかね。目印としてはあった方が分かりやすいけど。

上の動画は、左がジェリー・ダグラス(さっきのアール・スクラッグスの動画にも出てましたが)。ドブロの持ち方が独特(これが普通なのかな?)で、スチール・ギターのような弾き方ですね。それにしても超絶テクニック・・・。 

 

フィドルがスチュワート・ダンカン。

 

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フィドルというのはバイオリンの英語名で、バイオリンはイタリア語らしいです。ただ、単なる言い方の違いではなく、「フィドル」というと、短い音符でビブラートなしでひたすら弾きまくるイメージ。スコットランドとかアイルランド民謡あたりで聴けるような感じ。この動画でバイオリンを弾いている人です。これを見ていたらヴィブラートはないけどベンドみたいなのはあるのかな?

 

 

マンドリンはマイク・コンプトン。

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マンドリンはギター未満、ウクレレ以上の大きさの小さなボディに弦が8本も張ってある。ただ、2弦1組なので12弦ギターみたいな構成でそれが4本みたいな感じ?調弦はG-D-A-Eとのことなので、ギターの高い方の弦、つまり1弦から4弦と同じチューニングですね。

 

アコーディオンがジェフ・テイラー。

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 まあアコーディオンはおなじみですね。最近はチャラン・ポ・ランタンの小春さんという素晴らしい奏者が日本にもいます。アコーディオンが入ると、ヨーロッパの北の方っぽい感じがします。

 

ウッドベースがデニス・クラウチ

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これもおなじみの楽器ですね。ウッドベースと呼んだり、コントラバスだったりダブルベースと言ったりしますが、全部同じ楽器です。

 

ちなみにバンジョーは無いんですが、ボディがドラムヘッドと同じなんですね(初めて知った)。5弦(じゃないのもあるのかな?)でオープンG。

 

漠然と聴くよりも、どんなメンバーがどんな楽器弾いてるかが分かったほうが多分楽しめる。少なくとも自分はそう。特に日本ではそれほどメジャーでないジャンルなので、こんなことを書いてみました。

 

日本だと、戦争に負けた後、進駐軍と一緒にカントリーが入ってきて、それからロカビリーブームが来てカントリーが廃れた、ということらしく、その後再ブームとかは一切来ていないので、そのまま縮小化していった、ということみたいです。そういえば、ミュージック・マガジンとかレコード・コレクターズなんかもあんまりカントリーの特集組んでるのを見たことがない。アメリカだと基本的には白人=共和党支持層が聴くような音楽とのことなので(もちろん例外もあるでしょうが)、そういうのも関係して避けられているのかなという気もしないでもない。

 

とはいえ、一応こんな本は出てはいるのですが。

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で、これを書くにあたって、「Il Sogno」でやったように、カントリー・ブルーグラスのメジャーなやつを聴いてから書こうと、オムニバスでも借りに行こうとまたTSUTAYAに行ったのです。
今度はたまたま水曜日が100円レンタルの日なので、行ったのですが・・・。

 

「カントリー」の棚どこですかー?

 

洋楽ゾーンは「ロック・ポップス」で(60年代〜80年代)と現代に分かれています。「ジャズ」と「クラシック」と「メタル」と「R&B」と「ヒップホップ」はある。「ブルース」も小さいながら、ある。あとは、「イージーリスニング」とか「ワールド・ミュージック」の棚もあって、「ボサノヴァ」やらなんやらとある。しかし、カントリーがないんですよ。で、「ロック・ポップス」に紛れ込んでるのかなと思って「ジョニー・キャッシュ」を探したら、そこにありました。うーん・・・。ブルースは別枠でカントリーはロック・ポップスなのか。
この際だから書くけど、「ワールド・ミュージック」ってカテゴリはおかしい。欧米もワールド・ミュージックだろと。ジャズも品揃えが良いのは良いんだけど、「ジャズ・ピアノ」「ジャズ・ボーカル」「ジャズ・トランペット」・・・リーダー作のリーダーがどのパートかで分かれるんだろうけど、これって分かりづらい。例えばキャノンボール・アダレイビル・エヴァンスの「Know What I Mean」はどっちにあるの?こんなに細かく分けてるのに、カントリーが無いのってなんでなんだろう・・・。オムニバスのところになにか無いかと調べたら、3枚だけありました。「カントリー&ウエスタン」というジャンルで・・・。別に良いんですよ、ジャンル分け細かすぎるとわけわからんからAtoZでも。だけど、ジャンル分けの粒度の差がありすぎる。ジャズのジャンル分けが細かいので、その頭で探すと見当たらなくて混乱する。

ちなみに「ノラ・ジョーンズ」がどこかと調べたんですよ。10分くらいさがしたけど、見当たらない。ノラ・ジョーンズのような大物クラスがレンタルにないとは考えられない。と思ったらジャズのところにいました。この人ってジャズ・シンガーだったんだ。「Sleepless Night」が大好きで、カントリーの人かと思ってました。

 

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結局 TSUTAYA には無いので、タワレコ行ってカントリーのオムニバス買いました。タワレコにはちゃんとカントリーのカテゴリで棚ありましたよ!さすがタワレコ

 

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しかし、タワレコのポイントを使おうと思ったら、1000円単位でないと使えないらしい。こういうことをやっているから、Amazonで買ったほうが良いかも、と思ってしまうんだよなぁ。

 

ちなみに本当にどうでも良いことなんですが、我が家の電子レンジ、バルミューダなんです。

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このバルミューダのレンジ、レンジ特有の「チーン」じゃなくて、ギターのストロークで「ジャララーン」なんですが、これがこのアルバムの1曲目の「Down Among The Wines And Spirits」と同じなんですよ。コードも同じでEメジャー。ま、コード自体はギター初めて最初に弾くコード筆頭なので珍しくはないんですが、冷やご飯が温まる度に「ダーナモォーザ♪」と歌いたくなる。

 

これ気づいてるのどれだけいるんだろうか。そもそもバルミューダのレンジのシェアが全然ないし、コステロは知っていても「Down Among The Wines And Spirits」なんて知らない人が大半だろう。すると、やはりこれに気づいているのは世界で自分だけなんじゃないかという気がしてならない。

 

・Down Among The Wines And Spirits

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いきなりスローで、スコッチが飲みたくなるような曲ですが、King Of America だと「Poisoned Rose」みたいな曲かなと。

 

・Hidden Shame

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もろにカントリーな曲でジョニー・キャッシュコステロが書いた曲のセルフカバー。

 

・She Was No Good 
She Was No Good

She Was No Good

  • provided courtesy of iTunes

 これなんだろう・・・。好き。それだけ。

・Sulphur To Sugarcane

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ホンキー・トンク風。最近こういうの細野晴臣もやってますね。

 

・The Crooked Line
The Crooked Line

The Crooked Line

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 このアルバムの曲はなかなかコステロの公式Youtubeにないなぁ・・・。これ好きなんです。サンフランシスコ・ベイ・ブルースみたいで楽しい曲。

 

・Changing Partners
Changing Partners

Changing Partners

  • provided courtesy of iTunes

 パティ・ペイジの曲のカバーですが、この曲は有名ですね。日本でも江利チエミが「君慕うワルツ」という邦題でカバーしてます。

 

次は翌年にリリースされたまるで姉妹盤のような「National Ransom」。