俺の記憶ストレージ Part 1&2

色事を担当する色男

コステロ自伝 ANNEX Part 34

第34章は「カントリー・ダークネス/ナロウ・デライト(Country Darkness / Narrow Daylight)」。

2000年代中心のお話だが、その他色々。時代飛びまくり注意。

話は2010年、T-ボーン・バーネット主催のコンサート「スピーキング・クロック・レビュー」から始まる。

The Speaking Clock Revue - The Elvis Costello Wiki

Speaking Clock Revue

Speaking Clock Revue

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T-ボーン・バーネットが考えたコンサートの最後の演出は「Too Much Monkey Business」〜「Subterranean Homesick Blues」〜「Pump It Up」という(パクリ元)メドレーだったが、コステロがなぜか、ラルフ・スタンレー(ブルーグラス界の巨匠)に歌詞と歌を教えることになったが、当人は興味ナシ。辛かったらしい。

コステロ自身はこの年に作った、T-ボーン・バーネットプロデュースのアルバム「National Ransom」の曲を中心に演奏。「National Ransom」の曲についての説明にページが大量に割かれているが、この本の原著は2015年なので、ザ・ルーツとの共演盤を除くと単独作では最新作がこのアルバムだった。
「National Ransom」の収録曲には音程が正しくない箇所があるらしい。うーん、どこなんでしょう?音程ってのは、コステロのボーカルではなくてバックの演奏の方なのかな?
カバーならともかく、本人オリジナルの曲で音が正しくない、と言っても聴いているこっちにはなかなか分かりづらいものがある。

ところで、このアルバムでギターを弾いているのはマーク・リボーだけど、「Kojak Variety」の「Strange」には奇妙奇天烈なギターソロが入っている。最初のキーとスケールは合っているのだが途中からキーが外れたまま(外したまま?)演奏している。これがワザとなのか、そうでないのか、友人と論争したことがある。個人的には、モニタースピーカーがない環境で演奏していて手元が狂ったまま演奏したけど、なんかアバンギャルドなのでこれで良いんじゃない?となったのだと主張したけど、いや、あれは全部計算でやっている、と友人が言うのでそこで揉めた(笑)。
音楽理論上、正しくない音、コードとマッチしない音程というのはあると思うんだけど、それがテンションです、意図的にやってます、と言われるとそうなのだろうと思う。けどあれが意図的だったのかというと疑問。結果的にそうなっただけじゃないかな・・・と。
ちなみに一度耳コピしてみたけど大変だった。

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1988年、T-ボーン・バーネットはジェリー・リー・ルイスの伝記映画のサントラを手掛けていたが、その現場にコステロを呼んだらしいが、ジェリー・リー・ルイスの前で「エルヴィス」と名乗ると不機嫌になるから言うな、と言う。
しかし第三者が「こちらがエルヴィス・コステロです」とジェリー・リー・ルイスに紹介してしまった。で、何とか乗り切った話が書かれている。

で、2004年、「The Delivery Man」についても語られる。コステロはデビュー以来、メンフィスという場所を避けていた。理由は「偽エルヴィス」だからだろう。しかし「The Delivery Man」はメンフィスで録音された。ニューヨークやロサンゼルスだと何かと気が散るからだという。
このアルバムは私のお気に入りで何度も聴いた。2000年以降に発売されたコステロのアルバムでも一番気に入っている。なにやらトム・ウェイツもこのアルバムが好きらしい。
インポスターズにも言及していて、「Button My Lip」「Bedlam」は彼らの演奏の中でも最高の出来だと絶賛。

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確かに演奏が凄まじい。


で、細かい話が続くので少し端折り、中略。

この章の後半は、テレビ番組「スペクタクル」の話がメイン。DVDも持っているのだが、なぜかずっとアメリカの番組だと思いこんでいたが、イギリスとカナダで放送されていたようだ。

ちなみに、「スペクタクル」の Vol.1 は日本語翻訳版がリリースされているが、Vol.2 はリリースされないまま。
未来永劫リリースされないだろう。コステロが日本で人気あるといってもまあまあ限定的だなぁとこういう現象を見て思う。

Spectacle: Elvis Costello with... - Wikipedia

「スペクタクル」の個人的ハイライトはポリスだろう。この頃、ポリスが再結成して話題になっていた。日本にも来ましたね。
見に行ってはないですが、当時WOWOWで日本公演は見ました。

ま、スティングは再結成を後悔しているみたいですが・・・。
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ひょっとすると、ビートルズ以外で私が一番最初に認識した洋楽アーティストがスティングだったかもしれない。
「Englishman in New York」は流行ってましたよね。

コステロとスティングはかつて因縁があったが、この頃は解消され、前座として一緒にツアーすることになった。


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Elvis Costello once famously said of Sting, ''Somebody should clip (him) round the head and tell him to stop singing in that ridiculous Jamaican accent.''

That was nearly three decades ago, and in the years since, the two have apparently made up: Costello is the opening act on The Police's reunion (and reportedly final) tour. Costello even let Sting join him on stage Thursday night at the Sleep Train Amphitheatre for a rousing version of his classic 'Alison'. The pair seemed as relaxed and jovial as old friends.


エルビス・コステロはかつてスティングについて、「誰かが(彼の)頭を丸くクリップして、あの馬鹿げたジャマイカ訛りで歌うのをやめろと言うべきだ」と言ったのは有名な話です。

それは30年近く前のことで、それ以来、2人は仲直りしたようです: コステロはポリスの再結成ツアー(最終ツアーと言われている)のオープニングアクトを務めている。コステロは木曜日の夜、スリープトレイン・アンフィシアターでスティングをステージに上げ、彼の名曲「アリソン」を熱唱させたほどです。2人はまるで旧友のようにリラックスして陽気な様子でした。

ポリス…というかスティングは割と一般の人でも知ってるイメージ、コステロはそうではないですね。スティングほどメジャーではない。ほぼ同期なのにコステロが前座なので、おそらく欧米でもそうなんでしょう。

日本でもコステロが東京ドームでやるはずないと思うけどポリスはやった。この辺に知名度の差が出ます。

コロンバスの事件が無かったら同等だったのか?それは誰にもわからないけど。

個人的にはコステロほどではないけど、ポリスは結構好きで、この再結成した頃にほぼ初めて聴いた(有名な曲は知っていたけど)。
コステロを初めて聴いた時と同じ様に「どこがパンクなんだ?」という感想を持った。
アンディ・サマーズは空間系エフェクトを使いテクニシャンですごいギタリスト。粗品に似ているスチュワート・コープランドは手数が多い天才ドラマー。スティングは曲作りの天才。
特にアンディ・サマーズについては、自分がBARBEE BOYSいまみちともたかのファンだったので、ルーツがここにあるのかなと思った。

ちなみにアンディ・サマーズは地味にポール・マッカートニーと同じ年で御年80歳です。ポリス参加時は36歳。
ブルース・トーマスがアトラクションズに参加した時でさえ29歳だったので、かなり遅くにニューウェイヴに参戦している。