1990~1991年ごろ、中学生の頃、自分が追っていた2大バンドは、TMネットワークとBOOWYで、中学生の少ない予算の中でアルバム全部を聴いていたのはこの2つくらいでした。で、旧譜を遡って聴いたときに、たかだか10年くらいでも随分とサウンドが違うなぁと感じたんですよね。
BOOWYはもう解散していたので、1990年と言えば氷室京介の「JEALOUSYを眠らせて」、COMPLEXだと「1990」辺りですかね。ここからデビュー期の1982年「MORAL」まで遡ると、もう全然違う。一発録り?と勘違いするようなスカスカのサウンドで、まあ個人的には好きではあるんですが、「アマチュアくさいわー」「古いわー」と一聴して感じました。で、またアレンジも後期の「Image Down」と「No.N.Y.」を知っているせいか、ひどくダサいアレンジだなと。ドラムが高橋まことじゃないってのもあるのかもしれません。
1983年の「Instant Love」は、これまた「Moral」と全然違う。アレンジがかなり凝っていてサイバーな感じ。電子ドラムがあったり、布袋のギターサウンドが全然違うし、インディーズ感が減った。だけど、これはこれで古い感じはしたんです。たぶん電子ドラム(シンセドラム?)の多用が原因なのかなと。
1985年「BOOWY」も、ちょっとなあと。これもライブバージョンを先に聴いていたせいかもしれません。基本的にこの頃のシンセサウンドってのは陳腐化が激しく、シンセがオーバーダブされてなければ時代に耐えれていたんだろうけど、たかだか5年で「ちょっと古い」と思ってしまいました。1986年の「JUST A HERO」でもそれを感じました。でシンセもあるんですが、どちらかというとこれはドラムのゲートリバーブが原因。で、「BEAT EMOTION」は、一転かなりシンプルになり、シンセも極力減り、キーボードソロも60’sっぽいチープなオルガンだったりして、アナログ感が増した感じ。1987年の「PSYCHOPATH」になると、以前はシンセで補っていた箇所を空間系のエフェクトがかかったギターで埋めるみたいな手法が出てきて、ちょっとポリスみたいな感じですかね。(当然当時ポリスなんて聴いてなかったので後追いでそう思ったのですが)
TMネットワークで言うと、1990年はTMNの「RHYTHM RED」の頃でしたが、このハードロックかつ近未来的なサウンドと、この前の年に出た「DRESS」の先進的なサウンドを聴いたせいで、これより前が古く感じてました。
デビューした頃の1984年で、デビューアルバムの「RAINBOW RAINBOW」は、やっぱり少し古い音像だなと(当時は音像って言葉は使ってはなかったけど)。
TMの場合、シンセサウンドなので陳腐化も他のバンドと比べると相対的に早いのかなと思うんですが。次の1985年の「CHILDHOOD’S END」は、どういうわけかシンセサウンドよりは生音に近いのに、これまたすごく古く感じたんですよね。たぶんアレンジが少し古かったのかなと。1986年あたりになると「GORILLA」「SELF CONTROL」ですが、この辺りだとかなり洗練されてきて、そんなに古くは感じませんでした。「Carol」あたりだともう良い音だなぁと。ちなみに、TMと言えばドラムマシンで、シンセピコピコ、みたいなイメージがあるかもしれませんが、1986年~1990年あたりまでは生音主体のアレンジでした。
※ ちなみに「GORILLA」のクレジットを見るとドラム青山純、ベース伊藤広規、ギター佐橋佳幸、と、どこの山下達郎バンドなんだ?と。
で、今回、私がやりたかったのが、自分が当時遡って聴いていたものと、山下達郎WORKSとの違いがどの辺にあったのかと。山下達郎さんの楽曲ってのは、よく言われることではあるんですが、時代を超越しているというか、一体いつの録音なのかさっぱりわからないんですよ。ドラムサウンドに特徴のある70年代後期は流石にそのくらいの録音なんだろうな、ってのは分かるんですが(もっとも時代を感じるのは「MOONGLOW」の頃)、それ以後は、ProToolsを使い始めた「SONORITE」はすぐ分かるけど、それ以外はよく分からない。最近と言われてもふーん、と言ってしまうかもしれない。
1979
例えば、TMネットワークの前身のSPEED WAYの「夢まで翔んで ~Dream Away~」は1979年。
山下達郎の 「Let’s Dance Baby」は1978年。もう全然と言っていいほど違う。
「夢まで翔んで」はアイドル歌謡みたいなアレンジだけど、当時これが普通だったんじゃないかな。
当時(幼稚園の頃)アニメソングがたくさん詰まったカセットテープを持ってたけど、大抵こういうアレンジ。
ポコポンドラムがこの時代を象徴しています。達郎さんは当然使ってません。
1980
SPEED WAYの「CAPTAIN AMERICA」は1980年で、ここから小室さんがアレンジに参加していて、「夢まで翔んで」とは全然違う洗練されたアレンジ。まあでも80年だなぁとは思います。
山下達郎は「Ride On Time」の頃。
1982
BOOWYの「MORAL」は1982年(録音はその前年)。
山下達郎は「SPARKLE」の頃。僕としてはこれが一番の衝撃。ほぼインディーズだったってことを差っ引いても。
1983
BOOWYの「INSTANT LOVE」は1983年。
山下達郎は「高気圧ガール」の頃。
1984
TMネットワークの「RAINBOW RAINBOW」が1984年。
山下達郎は「BIG WAVE」の頃。
1985
TMネットワークの「CHILDHOOD’S END」、BOOWYの「BOOWY」が1985年。
山下達郎は「風の回廊」の頃。
1986
TMネットワークの「GORILLA」「SELF CONTROL」、BOOWYの「JUST A HERO」「BEAT EMOTION」は1986年。当時は古くないと感じたと書いたけど、あくまでも1990年頃の感想であって、今聴くと、流石に古いとは思います。
山下達郎は「ポケット・ミュージック」の頃。
1987
TMネットワークの「GET WILD(シングル)」「humansystem」、BOOWYの「PSYCHOPATH」は1987年。
山下達郎は「踊ろよ、フィッシュ」の頃。
1988
TMネットワークの「Carol」が1988年。
山下達郎の「GET BACK IN LOVE」の頃。
ってな感じです。90年代に近づくにつれて差が小さくなります。
これ、サザンオールスターズでやっても面白いです。サザンもかなり時代に左右された音作りをしています。
80年代中期の「綺麗」「人気者で行こう」「KAMAKURA」あたりはかなり80年代的な音像です。