latest 70'sサウンド

iMac といえば、やっぱり初代 iMac を思い出してしまう。職場で使っているメインマシンは iMac のディスプレイ一体型の薄いやつなのだけれど、iMac と言われるとやっぱり初代。

初代 iMac が出たのは1998年なので大学3年の頃だった。それまでの Mac はああいうカラフルな感じではなくて、白くて角張った筐体にカラフルなボーダーなリンゴのマークがついたやつ。

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それが大学のなんとか室(名前忘れた)に大量にあって、それを使って授業していた。その頃はマックとは呼んでいたけど、正式にはマッキントッシュだったはず。iMac以前のAppleはちょっと衰退気味の企業で、価格高くて、持ってたら凄いなぁと言われるけど、一般的な知名度はほとんどない感じ。今のように誰もが知っている企業という感じじゃ全然ない。

こういう感じね。無骨な感じ。
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iMacはポップな見た目で登場したので、話題になりました。

ちなみにAppleの一般的知名度が高まったのは、iPodiPhoneあたりくらいじゃないかな。この辺からお茶の間に浸透してきた。

iMacが出た頃はそこまででは無いけど、見た目が可愛いとかでPCにちょっと興味あるな〜みたいな層にはかなりアピールしていた。同じ部活にいた、そこまでPCに詳しくない友達までも iMac が欲しいと言い出して、その頃コンピュータに詳しいと回りから思われていた自分は(実際の所、昔MSXを使っていただけでそう思われていた)、一緒に買いに行くの付き合ってくれと頼まれて探しに行ったのだ。それが1999年の春頃。その頃はまだ札幌のヨドバシカメラが高架下(今のサツエキBridge)にあった頃で、そこに行ったり、今は無いけど大塚商会がやってたアルファランドに行ったり、さらにYESそうご電器回ったり・・・。なかなか人気商品なので入荷待ちってところが多くて、色々回った記憶がある。・・・というくらい人気商品だった。

で、その人気商品だった iMac が最近、まとめサイトに「なんで iMac みたいなダサいの作ったの」と書かれていてちょっと驚いた。

geektushin.com


まあ、今の目で見るとそりゃ20年以上前の商品なのでそう見えてもしょうがないけど、流行ってた当時にそれが言えたか?ってことが重要だなと。
あの当時から iMac ダサいと思っている人なんていなかったんじゃないかな。あれが目新しくて革新的だったから流行って、ソーテックの模倣品とかも色々出てきて、ゲーム機もスケルトンになったりとか。
要するに、今の目で見てダサいと思われるくらい流行ったってこと。流行ったということは裏を返せば時代の試練が待っているということ。流行りモノはその時代を象徴してしまうので経年劣化で陳腐化してしまう。これはファッションでもなんでもそうですね。なので、あの当時にダサいと言える人なんていたのかなと思うわけですよ。流行った結果としてのダサさなので。

で、音楽の話に無理やりシフトチェンジすると、ゲート・リバーブも同じで、「なんであんなダサい音像流行ったの?」と言われても、当時はあれが最先端だったのでしょうがない。あれが流行りまくったので、当時のスタンダードがアレになった。

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ただやっぱり今の耳でパワーステーションとかXTCの80年代アタマの曲を聴こうとしても、なんか聴く気にならないんだな。音がイヤで最後まで聴けない。だからと言って「なんであんなダサいサウンド使ったの?」とは思わない。あれが流行った結果で今の評価になるわけで。

ゲートリバーブについては色々書いたことがあります。

shintaness.hatenablog.com


達郎さんのインタビューで良く話題になるのが、達郎さんの音楽は耐用年数が長い、ということ。達郎さん自身、ミュージシャンになる前に好きだった音楽が、当時としては古い音楽だった(60年代中盤くらいに50年代の音楽を聴いていた)。だけど、それも古く感じる曲とそうでない曲があって、それはなぜなのかってところが原点のようで、自分の音楽もいつ作られたか分からない音像にしたい、ということらしい。

そういえば、自分も昔からそれについては気になっていて、例えば自分が一番最初に買ったCDは、1990年に買ったTMネットワークの「Gift For Fanks」だったけど、やっぱりベスト盤の中でも古く感じるのとそうでないのがあった。そのアルバムだと、1986年以後のものは古く感じない。例えば「Get Wild」「Nervous」「You Can Dance」「Come On Let's Dance」などなど。TMの場合、シンセサウンドがメインなのだけれど、1986〜1990年あたりは完全デジタルではなかった。ナマ感があって、ドラム&ベースが青山純伊藤広規だったりと、生楽器の割合が多いほど古く感じない。別に当時分析してたわけじゃないけど、なんとなくこれ古いサウンドだな、とか、これは聴けるな、とか。「1974」とかはちょっとキツかった。1990年からだとたった6年前なのに「なんか古っ!」と思ったのだ。

BOOWYも同時期に聴いていたけど、「BOOWY」「JUST A HERO」は1990年の耳だと古いと思った。だが、「BEAT EMOTION」は古くないと思った。この違いは何だったのかというと、やっぱりサウンドエフェクトなのかなと。「BEAT EMOTION」以後は結構ストレートなサウンド。キーボードが入っている曲もあるけど70sのチープなシンセサウンドだったりするので、逆にここまで古いと古く感じないんだな。

ちなみに古いサウンドプロダクションと言えば、ゲートリバーブとかオーケストラヒットあたりが槍玉に挙げられてしまうけど、それ以前の1978年〜1979年あたりの独特のサウンドプロダクションもかなり特徴的に感じる。
ドラムサウンドとしてはゲートリバーブとはむしろ逆でエコー・リバーブは少なめでタイトで妙に分離が良くて音がデカい。ベースも同じでデカい。デカいというのか、ドンシャリとは逆で中域が妙に持ち上げられているというか。ドラム&ベースのリズム隊の定位としてはど真ん中なんだけど前に出ているというか貼り付いているというか、そういう音像。エフェクトと言うよりはミックスの問題かもしれないけど、ドラム&ベースがとにかく前に来る感じ。ギターなんかは右か左か定位が寄り気味でこれもなんか手前に貼り付いている。これにシモンズとかの電子ドラムとかチープシンセが載ってくると完全に latest 70'sサウンドになります。

これがなぜか1978年〜1979年あたりに集中していて、それよりも少し前とか少し後には極端に減っていく。それも国内国外問わず。

洋楽だとポール・マッカートニー&ウイングスの「Back To The Egg」の「Getting Closer」(1979年)とか、「McCartney II」の「Coming Up」(1980年)。

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クイーンだと「Jazz」(1978年)の頃はそうでもないけど「Another One Bites The Dust」(1980年)だとそういうサウンド

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ディスコブームが影響しているのかなという気がしないでもない。そんなクイーンも「Radio Ga Ga」(1984年)になるとゲートリバーブ全開でもう聴いてられません。こればっかりはライブバージョンで聴きたくなる。

エルヴィス・コステロの「This Year's Model」の「This Year's Girl」「Chelsea」(1978年)とか。。

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ポリスだと「Outlandos d'Amour」で「Roxanne」とか(1978年)、なぜかポリスは翌年の「白いレガッタ」になるとそうでもなくなる。「シンクロニシティ」の頃だとドラムサウンドが全然違います。

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後にゲートリバーブでビショビショになるXTCも初期の「White Music」の頃のドラムはタイトで「Statue Of Liberty」あたりが顕著(1978年)。

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ただXTCは1979年にはすでにリバーブ全開で「Making Plans For Nigel」なんかは結構ビシャビシャ。アーリーアダプターな感じ出てます。ちなみに一般的にゲートリバーブ全開と言われてる「Black Sea」(1980年)ですが、僕はこっちは別に気にならないけど「English Settlement」(1982年)は嫌い。ドラムだけじゃなくて全体的に派手なエフェクト掛かってて輪郭がボヤケすぎてて苦手。

ホワイトスネイクだと「Trouble」の「Free Flight」(1978年)なんかその音像。

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邦楽だと、例えばサザンで言うと「熱い胸さわぎ」(1978年)〜「10ナンバーズ・からっと」(1979年)のあたり。「当って砕けろ」「奥歯を食いしばれ」なんかは顕著。

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大滝詠一は「Let's Ondo Again」の頃。ナイアガラCMスペシャルに入っている「MG5」あたりが顕著。

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実は達郎さんの「MOONGLOW」もこの頃だけどやっぱり特徴的な音をしている。「永遠のFULL MOON」のイントロのドラムのタムの音に顕著だけど、やたらデカくてタイト。

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個人的には「MOONGLOW」は一番苦手でオリジナルアルバムでは一番聴いていないアルバム。音がやっぱり苦手。
その前後の「SPACY」「GO! AHEAD」「RIDE ON TIME」「FOR YOU」はサウンド的に違和感がないのに、これだけ異質に聴こえてしまう。「PAPER DOLL」なんてサウンドとしても最高峰なんだけど、「MOONGLOW」でなんかガクってなるんだな。「MOONGLOW」好きな人が多いみたいなので気に触ったらごめんなさい。
当時達郎さんがもっともコンテンポラリーに作ったアルバムということで、作曲・編曲的にだけじゃなくて、それはサウンドプロダクション的にもそうだったんじゃないかな?この当時の音そのものなので。

アニソンだと「翔べ!ガンダム」あたりが顕著・・・というか、自分が幼少期にこれを聴きすぎて、このサウンドが体に染み付いてしまっていて、似た音像の曲に対して「幼少期=古い」と思っている可能性もある。

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アニソンのカセットは1980年代にスーパーにたくさん売っていて、それこそそれより少し前の70年代後期のカセットは今更売れないのでワゴンで安売りされてて、そのカセットが家に沢山あって、そればかり聴いていた幼少期なので、その頃のサウンドが耳に染み付いている。

桑名正博の「セクシャルバイオレットNo.1」とか、ゴダイゴは「銀河鉄道999」(1979年)とか。

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まあちょっとこの辺はミックスもそうだけどアレンジもちょっと影響するのかなと。ちょっと跳ね気味の8ビートに細かいパーカッションが入って、ギターソロが入るともうサウンドというか latest 70'sアレンジな感じ。
ちなみにユニコーンがこの頃のアレンジをパロった曲がありまして、「オーレオーレパラダイス」(2016年)という曲なんですが。

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確かこの曲のメイキングでABEDONが「昭和のミュージシャンじゃないんだから」とかなんとか言ってた記憶があります。使っているサウンドエフェクトから、パーカッションの入れ方とか、ギターソロの入るタイミングとか、凄い。
初期サザンっぽいといえばぽいけども。

そして、やがて1980年以降はこういうサウンドは次第に減っていって、ゲートリバーブの時代になっていくわけです。

あと、ビブラスラップ(ハンバーグ師匠で有名なやつ)とか、ギロとかホイッスルも気をつけないとかなりアレですね。一番危険なのはポコポーン(おそらくシモンズの電子ドラム)。

shintaness.hatenablog.com

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「永遠のFULL MOON」はポコポーンじゃないけど、それにかなり近い生ドラムのタムの音が入っているのでちょっと古く感じてしまうのかも。
当時のライブだとタム回しが無くなっているのですぐに気づいたのかもしれないなと思ったり。

余談ですが、タツローさんのサウンドは基本的には耐用年数が長いですが、中にはそうでないのもあります。
「MOONGLOW」がちょっと苦手なのは私だけかもしれませんが、例えば「BIG WAVE」の30th Anniversaryのボーナス・トラックに入っていた「Breakdance」とかはモロに80年代。
ゲートリバーブはないけどマシーンミュージック全開。まあ、ただこれは当時レコードとしては未発表なのでセーフ。おなじコンピューターで作った、この後にリリースされる「POCKET MUSIC」とは全然違う。

それとCM集に入っている「いちじく浣腸」(1975年)なんかは当時のシンセの音なのでかなり時代を感じます。
あとはアルチザンの「"QUEEN OF HYPE" BLUES」(1991年)かな。まあこれは歌詞の内容と相まって確信的にやっている感じですが。
まあ総じて耐用年数は長いと言えます。