山下達郎 PERFORMANCE 2015-2016、ライブレポ解禁の時期になりました。去年の12月に書いたものを放出。
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建物は昔から変わってない。少なくとも30年前からこのまま。一体いつ建てられたのかと調べてみたら1971年。築45年。シュガーベイブのギタリストだった村松邦男さんの「あるバンドの物語 」によるとかつてシュガーベイブでも来ていたようだ。達郎氏もMCの中で、シュガーベイブの頃から思い入れのあるホールだと言っていた。
個人的には、小学生の頃に親に連れてこられた記憶が一番古い記憶だ。チケット貰ったとかの理由で、バレエの「白鳥の湖」を見たんじゃなかったかな。80年代中頃の話だ。あと1999年に就職活動の合同セミナーみたいなので来た覚えがある。
コンサートに限定すると2003年に氷室京介、2009年と2011年の2回、ユニコーンをここで見ている。ふと思い出したけど、1989年に週刊少年ジャンプのイベント、ジャンプカーニバルというのに当選し、ここで鳥山明の書き下ろしアニメと、当時ジャンプで連載されていた「県立海空高校野球部 山下たろーくん」のアニメを見たんだった。
そしてこの日は26年の時を経て、「山下たろーくん」ではなく、「山下たつろーくん」を見に来たのです。(※筆者注 これを書きたかったためだけの長いフリだったわけですね!)
ついに念願の山下達郎ライブ”初”参戦!。まあ”初”というのは語弊があり、レギュラーのフルコンサートに初参戦ということです。2014年のマニアックツアー落選がショック過ぎて、RSRに山下達郎だけを見に行ったのでした。
さて、この日の札幌は12月にしては、いつもよりは少し暖かい日だった。+5度くらい。それでも道外から来ている人もいたようで、野外で待っていたものだから寒い寒いと騒いでいた。さらに機材トラブルで開場が15分ほど遅れ、ちょっと殺気立っていた。個人的には2013年の12月、六本木EXシアターのエルヴィス・コステロのコンサートで並んだ時の方がよっぽど寒かった。雪があると北海道の方が体感温度が高い気がする。12月の六本木は風も強かったし、本当に寒かった。
やがて開場となり、ホールの中に入る。僕は客層を観察していた。年齢層はやっぱり高め。RSRも割と高めだったけど、さすがに同じくらいの年齢の人や少し年下くらいの人も3割程度はいた気がするが、今回は1割くらいといったところか。会社員であれば役職ついてそうな人とか、普通に子供が成人してそうな人とか、そんな感じの人が多かった気がする。2014年の12月(12月ばっかりだな・・)に真駒内アイスアリーナで見た竹内まりやのコンサートも同じような年齢構成だった。あの時はまりやさんがMCで「大学の先輩の杉真理さんが書いた曲で、」と言うと「あ~そうなんだ~」という年配の方の声が聞こえたり、「家に帰ったら松たか子がいる」と佐橋さんを紹介すると「え〜っ!」と驚いている人も多く、青春時代に竹内まりやを聴いていた人が懐かしくなって来ている、つまり普段は熱心に追ってるわけではない、みたいな人が多かった気がする。
山下達郎のコンサートはどうだったかと言うと・・・物販の列に並んでた年配の方は「毎年行ってたんだけど、去年はマニアックな曲やるっていったから、やだわ~、と思っていかなかったのよ~」と言っているのが聞こえた。毎年行っているのにマニアックな曲が嫌って不思議な感覚だなぁと。まあ、この人は去年以外は参加してるってことだろうから熱心なファンなんだろうけど。熱心ならマニアックな曲でも大丈夫なんじゃないかと思った。それでもやっぱり、音楽的マニアの人だけでなく、そうでない人も集めてしまう山下達郎は凄いなあと思う次第。本人はマニアック過ぎる人なのに。
ちなみに、物販ではパンフとTシャツ、それと「山下達郎作品集」と「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」を購入。CDは郵送で買うより300円安いからこの日を待っていたのだ。ケチくさいけど。
席は二階席。厚生年金会館で二階席は初めてだと思ってたけど、よーーく考えると「山下たろーくん」を見た時は二階の右側に座っていたかも。なんか思い出が蘇ってきた。
開演。
アカペラのテープが流れ、バンドメンバー登場。そして満を持して山下達郎が左側のホテルのドアから登場。
1曲目は何かな〜と期待していたら、お馴染みの「SPARKLE」。RSRは割と至近距離で見たから、生音も混じって凄い音と迫力で自然と涙が出てしまったんだけど、二階席は少し遠いこともあって、若干おとなしい音に感じた。が、バランスは良いし、ボーカルもはっきり聞こえる。たまにボーカル全然聞こえないバンドってあるんですよね。歌詞全然聞き取れない。そういうのではなかった。完全に全員の音がハッキリ聞こえた。やっぱり僕はモッシュしたり一緒に歌って騒いだり、そういうライブは嫌なんですよ。じっくり聴きたい。山下達郎のライブはそういうライブでした。
2曲目は「DAYDREAM」。これねぇ、聴きたかったんだよホント。僕の両サイドの人は8ビートで手拍子してたんですが、逆に難しくないですかね。僕は座っているのを良いことに16ビートのこっそりエアドラム。楽しかった。
「こんな序盤でDOWN TOWNやっちゃうんだ~?」と驚きつつ、どうしても聴きたかった曲をこれまた聴けて満足。なおクラビネットはコーラスの三谷さんが弾いてました。あとラストの「リメンバーシュガーベイブ?」は言わなかった。最近言わないのかな?
MCでは、シングル曲でも全然ライブでやってない曲があるので、今日はそれをやります、と。初めてライブでやると言って始まったのが「土曜日の恋人」。これは嬉しい。メチャクチャ好きな曲だ。シュガーベイブでは明るいポップス路線だったのが、ソロになった70年代後半は時代の流れで渋い16ビート、ソウル/ファンク/ブラコン風の路線になり、80年代中頃からまたポップス寄りになっていくけど、その頃の原点回帰的な曲ですね。僕は「ドリーミング・デイ」の孫だと思ってます。
続けてシングルの「エンドレス・ゲーム」を挟み、さらにシングル「風の回廊(コリドー)」。これも本当に好きな曲。スタジオバージョンは打ち込み系な音像だけど、バンドバージョンは本当に良い。コーラスが得に好きだ。
次のMCではシュガーベイブに触れ、「SONGS」の40周年盤も出たし何曲かやります、と。僕はシュガーベイブの曲は「DOWN TOWN」と「雨は手のひらにいっぱい」「今日はなんだか」、あと「SHOW」をやるかやらないかだと思ってたんだけど、「DOWN TOWN」以外大外れ。
今回からツアーメンバーになったコーラスのハルナさんに手伝ってもらいます、と言った瞬間に、「まさかのアレ?」と思って始まったのが「すてきなメロディ」。これは鳥肌が立った。カズーはなかったけど、これを生で聴けるとは。
難波さんのキーボードソロを挟んで何やるのかなと思ったら、達郎さんがアコギを持ってベンチに座り「過ぎ去りし日々」を演奏。これもまさかの選曲。これも大好きな曲。ノスタルジックな歌詞がまた良い。
「ベタだけど一回やってみたい曲がある」と言うので「STAND BY ME」かと思ったが、あれはオンストでやってるな、ひょっとしてまさかのビートルズ?なわけないよな、と思ってたら特徴的な聞き覚えのあるイントロが。フランキー・ヴァリの「CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU」。ボーイズ・タウン・ギャングのバージョンが有名ですが、とMCで言っていたけど、僕が最も聴いたのは椎名林檎のノイジーかつガレージなバージョン。やけにタメの効いた歌い方だなあと思ったら、フランキー・ヴァリの歌い方を研究したとのこと。フランキー・ヴァリは演歌みたいな歌い方だそう。これをやってたら自分の曲でもそうなってしまうと、「風の回廊」演歌バージョンを少しだけ披露。ギター一本でお遊び程度に歌ったのにやっぱりメチャクチャ歌が上手い。上手すぎる。「水曜日のダウンタウン」で歌が上手い日本の歌手のランキング、に全く入ってなかったんだけど、おかしいよね。みんな聴いたことない?マジで上手過ぎて、お遊びで歌った歌でも脳と感情が揺さぶられる。
今回のセットリストは40周年なのでなるべく明るい曲を選んでいて、辛気臭い曲は入ってないけど、これだけはやらせてくれ、と始まったのが「DANCER」。これまた大好きな曲。
そしてアカペラコーナーへ。
自らオンスト最高傑作だという「CHAPEL OF DREAMS」を披露し、鈴木雅之に提供した「おやすみロージー」をリマスタリングしたオケで披露。なんでも鈴木雅之氏は昔のテープをそのまま使って最近までステージで披露してて、達郎氏がリマスタリングしてCDに焼いて渡したらメチャクチャ音が良い!と喜んだんだとか。アカペラコーナー最後は「I ONLY HAVE EYES FOR YOU」。
このあと続けざまに「WHITE CHRISTMAS」が流れ、「クリスマス・イブ」のイントロへ。MCによると、もうこの曲はやらなくていいんじゃないの?というファンもいるとか。でも達郎氏は、初めて自分のコンサートに来てくれるファンもいるかもしれない、自分も他の人のコンサートに行って代表曲を聴けないのは嫌だ、と言ってました。
この後のMCではテンプテーションズの「My Girl」のオリジナルカバーバージョンと和風バージョンを披露。マキタスポーツ的なネタで面白かった。「CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU」もそうだけど結構、ベタな曲のカバーも良いですね。
MCでは近況について。現在あっと驚く人に曲を書いてるとのこと。誰だろう・・・ももクロだったりして。(※ 追記 嵐の「復活LOVE」でした)
お次は、「この曲はシュガーベイブのレパートリーなんだけど、本当に最後の演奏になるかも」と言って始まったのがなんと「SUGAR」。これには驚いた。これを生で聴けるなんて。やっぱり生で聞かないと分からなかったこともあって、ちょっとだけ登場するボーカルパートの「と〜おりすぎないでぇ~」のあとのギターのギュンギュン言ってるスライド、あれは達郎氏が弾いている。ここ地味に超かっこいい。後半は佐橋佳幸vs山下達郎のギターバトル。結局10分超えの熱演となりました。
間髪入れずにファンキーなカッティングで始まったのが「BOMBER」。これも素晴らしい。RSRでは少し声が裏返ってたけど、今回は完璧だった。間奏では佐橋佳幸がアーニー・アイズレーばりのソロを聴かせる。いや~本当に上手い。ラストは小笠原拓海のドラムソロから「LET'S DANCE BABY」へ。エンディングでは大滝詠一メドレーへ。「びんぼう」から「ナイアガラ・ムーン」~「ハンドクラッピングルンバ」~「楽しい夜更かし」~「夢で逢えたら」~「君は天然色」~「幸せな結末」~「熱き心に」~「レッツオンドアゲン」。「レッツオンドアゲン」のラストは「あれは2年も前~」と歌詞を変えて歌う。そうか、大滝詠一さんが亡くなったのは2013年の12月だ。これで、終わりかと思いきや「ベイベー」からまたもや「I GOT A WOMAN」から「いかすぜ!この恋」~「ロックンロール・マーチ」で大円団。
本編ラストは「アトムの子」。CD化されたバージョンでは「鉄腕アトム」の一節が挿入されていたけど、今回は「アンパンマン・マーチ」。この時の歌い方が抑揚なし、ビブラートなしの子供みたいな歌い方。これはレア。
アンコールで出てきて「ドーナツ・ソング」かと思ったら「HAPPY HAPPY GREETINGS」。ちょっと意外な選曲。
そして「RIDE ON TIME」へ。間奏ではメンバー紹介を兼ねたソロ回し。伊藤広規さんはディープ・パープルの「BLACK NIGHT」のイントロを披露。小笠原拓海もそれに合わせる。佐橋佳幸氏はサンタナの「哀愁のヨーロッパ」を弾いていた。こういうソロ回しのお遊び大好きだな。
メンバー全員が前に出てきて挨拶したのでこれで終わりかと思ったらラストに「恋のブギウギ・トレイン」。後半は達郎のファンキーカッティングコーナー。
そして、本当のエンディングはサックスの宮里陽太と二人で「YOUR EYES」アカペラバージョン。
前回見たRSRと被ってたのは「SPARKLE」「BOMBER」「恋のブギウギ・トレイン」「さよなら夏の日」だけでした。まだまだ聴きたい曲あったけど大満足の一日。次回も僕はチケット取れるのでしょうか。いや、取るべき取れるはず、取らねばならぬ。神様仏様達郎様、是非私に再度のチケットを〜!!