第17章は「イット・メック(it mek)」で、これはレゲエシンガー、デズモンド・デッカーの曲名。
1975年のまだフリップ・シティだった頃、地下にあるクラブでデズモンド・デッカーを見たが、口パクだったらしい。
その後コステロが出たが動員が減り、口パクに負けた、というお話。
ここからデビュー直後のBBCの口パクについて語られる。表向きはBBCに生演奏を録音する技術がなく、さらにレコードはそのまま流せないという労働者ユニオンとの協定で、BBC向けに録音しなおし、さらにカメラの前で当て振りと口パクをしなくてはならなかったとのこと。
初めの頃は真面目に録音してたが、次第に監視役を外に連れ出している間に、レコードからテープにダビングして録音した体を装っていたらしい。
前も書いたが、こういう不合理で意味不明な「キマリゴト」に縛れて無駄なことをするのは日本だけだと思っていた。まあBBCは国営放送で半分お役所なので、特にそうなのかもしれない。
ここで BBC Top Of The Pops への出演について纏めてみようと思う。
1977/9/1 O.A.「Red Shoes」
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リレコされてる
1977/11/10 O.A. (1977/12/10, 1977/12/22 再放送)「Watching The Detectives」
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リレコされてる
1978/3/16 O.A. (1978/3/30 再放送)「Chelsea」
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リレコ
1978/6/15 O.A. 「Pump It Up」
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リレコ
1978/10/26 O.A. (1978/11/16 再放送)「Radio, Radio」
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リレコ
1979/2/8 O.A. (1979/2/22, 1979/3/9, 1994/1/4 再放送)「Oliver's Army」
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完全にレコードからダビング、そもそもコーラスがこんなにうまいはずない
1979/5/24 O.A. (1979/6/7 再放送)「Accidents Will Happen」
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間違いなくレコードからダビング
1979/12/25 O.A.「Oliver's Army」
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ダビング
1980/2/15 O.A. (1980/2/28 再放送)「I Can't Stand Up For Falling Down」
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ダビング
1980/4/24 O.A. 「High Fidelity」プロモビデオ
1981/10/8 O.A. (1981/10/22 再放送)「Good Year For The Roses」プロモビデオ
1981/12/24 O.A. 「Sweet Dreams」
1983/6/8 O.A. 「Pills And Soap」
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これはリレコ?だよね
1983/7/14 O.A. (1983/7/28 再放送)「Everyday I Write The Book」
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こんなのダビングでしかあり得ない
1984/6/21 O.A. (ピートがフザケて出禁)「I Wanna Be Loved」
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これもダビング
1994/3/3 O.A. (出禁明け) 「Sulky Girl」
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ダビングに聞こえる、まさか90年代まで?
1999/7/30 「She」
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生演奏
2003/9/26 「Still」「When It Sings」
これ以降出演していないが、Top Of The Pops自体、2006年にレギュラー放送が終了している。
BBC以外の民放にも出た、と書かれていたが、それも少しだけ。
1977/7/21 So It Goes
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この段階ではパンクの欠片もなく、フリップシティの延長に思える
1977/9/30 Nöjesliv
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これは激レアでスウェーデンのローカルバンドをリズム隊に起用している
1977/9/30 Good Afternoon
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ソロで「Watching The Detectives」を演奏していてこれもレア
1977/12/3 So It Goes
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かなりおとなしめの演奏
1978/6/21 Rockpalast
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22章で語られているライブ
2nd発売後なので完全にパンクへ
激しい演奏
1978/8/5 Revolver
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おなじく激しい演奏
1979/2/19 The Kenny Everett Video Show
本には4月と書いてあったが・・
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生演奏ではなくレコードの音をかぶせてある
1979/6/10 Chorus
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かなり激しめのPump It Up
1980/3/10 The Kenny Everett Video Show
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この時期のLIVE映像は結構貴重
1980/8/7 Alright Now
長くなるのでここまで。
コステロは1977年後半からスターダムにのし上がったが初めてヒットしたシングルは「Watching The Detectives」だが、この曲は1977/10/14にリリースされ、チャートに入ったのは11/5、最高位15位に到達したのが12/24だった。
12/22にTOTPで再放送されているのでこれが後押ししたのかもしれない。
コステロ自身はTOTPに出るたびにチャートアクションが悪くなったと言っているが・・・。
TOTPは無意味な当て振り口パクでウンザリしていたが、BBCのバーで飲むのは良かったと書いている。ここでクリス・ディフォード/グレン・ティルブルックのスクイーズコンビと仲良くなったそうな。
TOTPのおもしろエピソードとしては、「I Wanna Be Loved」の最後で当て振りをやめてピートがフザケてしまい、その後プロデューサーに呼び出された、という話。
謎なのは、音源は事前に撮って、映像は生放送で当て振りするというところですね。なら全部録画でも良いじゃんという気がするけども。
当て振り口パクなんて見てりゃ分かるのに、プロデューサーとしては当て振りがバレるじゃないか!ということらしい。なんてアホなシステムなんだろう。
もう一つ、初めてTOTPに出た時のエピソード。1977/9/1 O.A.だが、撮ったのは1977/8/31だ。
この頃、スコットランドでツアーがあったので、スティッフが大枚はたいて小型飛行機をチャーターしてロンドンに戻って撮ったらしい。
そしてまたスコットランドのエディンバラに戻り、ティファニーというナイトクラブでライブをする。
Concert 1977-08-31 Edinburgh - The Elvis Costello Wiki
この時に出会ったのがビビ・ビュエル(名前は出してない)で、唐突にその話が出てくる。
ここでよくわからないのが、ビュエルは南米に行くのでコステロに別れの挨拶に来て、コステロとビュエルは彼女の父親の家での誓いを破り、再び罪を犯した、というくだり。
うーん、こんな描写あったかね?13章の画学生がどうとか「Party Girl」とか「Alison」のところ?よくわからん。
とにかく、この時にビュエルがコステロにリボルバー型のキーホルダーを渡し、これがキッカケで「Little Trigger」が産まれる。
ピート・ウイングフィールドの「Eighteen With A Bullet」と、
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イギー・ポップの「Turn Blue」が頭に浮かび、それを「Little Trigger」に昇華させた。
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1977年の後半は「Live Stiff」というパッケージ・ツアーにニック・ロウ、イアン・デューリー、ラリー・ウォルス、レックレス・エリックらと参加。
年末には「Watching The Detectives」がチャートを駆け上がるが、その頃コステロ達はアメリカに行っていたそうな。