草野マサムネのロック大陸漫遊記は中々に攻めた企画をする。
以前(3年前)、ロニー・ジェイムズ・ディオの特集をしていて、ロニーのドゥ・ワップ時代の曲が流れて、それを受けて書いたブログがこれ。
で、つい最近同番組で、またもやディープ・パープル初代ボーカリストのロッド・エヴァンスについての特集が。うーん攻める。ロッド・エヴァンスなんてかなりニッチな。
オンエアされていたのがこの曲たち。
- Only Time Will Tell / M.I. 5
- Hush / Deep Purple
- Listen, Learn, Read On / Deep Purple
- Anthem / Deep Purple
- Raging River of Fear / Captain Beyond
- Drifting In Space / Captain Beyond
キャプテン・ビヨンドは名前だけ知ってて聴いたことなかったが、第1期パープルは2期3期ほどではないけど、まあまあ聴いていたし、2ndの「詩人タリエシンの世界」は結構聴いていた。
個人的には「Wring That Neck」が好きだけど、そういやあれボーカルないな。
なんかこのアート・ロック、サイケデリック・ロックとハードロックの端境期の混沌とした感じがまあまあ好きで。
別にめちゃくちゃ好きってわけでもないけど歴史的資料として聴いていた感じもある。
カバーも結構多いです。「Hush」「Hey Joe」「I'm So Glad」「Help!」「We Can Work It Out」「River Deep, Mountain High」「Kentucky Woman」「Lalena」ナドナド。
これが1968年の10月リリース。これの3ヶ月後に Led Zeppelin の 1stがリリース。
で、3枚もアルバムを出したけど、なんかロバート・プラントにはかなわないなーということでロッド・エヴァンスがクビになり、イアン・ギランが加入する。
時系列的にはこんな感じ。
- 1968/07 Shades of Deep Purple (1st)
- 1968/10 The Book of Taliesyn (2nd)
- 1969/01 Led Zeppelin (1st)
- 1969/06 Deep Purple (3rd)
- 1969/10 Led Zeppelin II (2nd)
- 1969/12 Concerto for Group and Orchestra
- 1970/06 Deep Purple in Rock (4th)
- 1970/10 Led Zeppelin III (3rd)
- 1971/07 Fireball (5th)
- 1971/11 Led Zeppelin IV (4th)
- 1972/03 Machine Head (6th)
- 1972/12 Made in Japan
- 1973/01 Who Do We Think We Are (7th)
- 1973/03 Houses of the Holy (5th)
- 1974/02 Burn (8th)
- 1974/11 Stormbringer (9th)
- 1975/02 Physical Graffiti (6th)
- 1975/11 Come Taste the Band (10th)
- 1976/03 Presense (7th)
- 1979/08 In Through the Out Door (8th)
日本だとパープルvsツェッペリンかみたいな構図が以前は多かったのですが、こういう風に見るとZepが常に半歩先を行っていて、パープルが食らいつくって感じですね。
なんとなく、「In Rock」と 「Zep I」が同時期、「Machine Head」と「Zep III」が同時期みたいな錯覚してましたけど、大分差がある。
70年代中盤から後半になるとまた状況は違いますが。
草野マサムネさんは1980年のロッド・エヴァンス率いる偽物ディープ・パープルについても触れてましたが、自分はこの件、ほとんど忘れてました。あまり話題にもならないし。
成人してから通っていた中古CDショップで古いミュージックライフが大量にあって、それを何冊か買った中にその話題が書かれた記事があったので、この件はぼんやりと知っていたけど、まさかYoutubeに映像まで残っていたとは!
結構な観客の数。当時インターネットもなかったのでウソかマコトかなかなか知り得なかったってことなのかな。
ちなみに本家がこれ。やっぱり力量が違うな。
www.youtube.com
1980年当時はパープルは既に解散していて、リッチー・ブラックモアとロジャー・グローヴァーはレインボー、カヴァーデイルとイアン・ペイスとジョン・ロードはホワイトスネイク。イアン・ギランはギランという自分の名前を冠したバンド。トミー・ボーリンはオーバードーズで死亡。グレン・ヒューズは死んではいなかったけどおクスリとアル中で隠居状態。
ということでディープ・パープルの実態はない状態。ここに悪い人が目をつけて、南北朝パープル時代に。いや本家は死んでたから南北朝じゃないか。
www.thaliacapos.com
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このページに事の顛末が書かれてますが、英語なので掻い摘んで書くと、
- Steve G. という悪質プロモーターがいて、かつてまったくオリジナルメンバーのいない偽物ステッペン・ウルフが大盛況で一儲けしていたがステッペンウルフのフロントマン、ジョン・ケイに訴えられた
- ロッド・エヴァンスは音楽業界から足を洗って病院で働いていたが、悪質プロモーターにディープ・パープル再結成を持ちかけられ、乗ってしまった
- ニック・シンパーにも話が持ちかけられたが怪しい臭いを嗅ぎ取り話に乗らなかった
- プロモーターが自分たちのリスクヘッジのためにこの事業の株主をロッド・エヴァンス100%にした
- ロッド以外のバンドメンバーは偽ステッペンウルフのメンバーと同じ
- 1980年の5月から複数の箇所でツアー開始、しかし観客からはプーイングの嵐、時には暴動も
- 8月ごろには本家パープルの代表者がブラックモア、ギラン、カヴァーデール、ロード、グローヴァー、ペイス、ヒューズのようなスターは出ないよ、と公式声明発表
- ロッドが株主だったため訴えられ敗訴し賠償金請求されたが払えなかったため第1期の将来の印税をすべて没収される羽目に
で、4年後に第二期パープルは再結成し、ロッドは引退。昔はロッドがメンバー集めてって言われてたけど悪徳プロモーターがいて、ってことらしい。まあそんな話乗るなよって感じだけど主犯ではなさそうな。
ちなみに、Pogusってのはインチキっていう意味らしいですが、そのPogus Deep Purpleは、第二期の曲とか第三期の曲も演っていたようで、オリジナルメンバーとは言え、あんた歌ったことないでしょ、というツッコミどころ満載のバンドだったようだ。
現代だと、ホワイトスネイクのギタリストがホワイトスネイクの曲をやったりするがバンド名は別だし、本人たちの曲だったりする。
ディープ・パープル・トリビュートバンド、とかなら問題にならなかったかも?