邪念をサウンドが凌駕する


Softlyに関して「既発曲が多い」だのなんだのという批判はアルバムトータルの出来と別問題ということをまずはおさらいしておきたい(笑)。

例えば、極端な例を出すと、自分が最初に買ったCDアルバムはTM NETWORKの「GIFT FOR FANKS」ですが、これは要するにベスト盤です。これを買う前に知っていたのはアニメシティハンターのエンディングテーマだった「Get Wild」だけ。僕は1987年にアニメシティハンターを見て、ずっとこの曲を覚えていて、CDラジカセを買った1990年にようやくこのCDを手に入れて聴いたわけです。

その時TM NETWORKで知っていた曲は「Get Wild」だけでした。他の13曲は聴いたこともない。でもベスト盤なので、当たり前ですが既発曲なんですよ。でも当時の僕に取っては1曲以外知らないので、既発曲とはいえ新鮮に聴ける。なのでどこで誰がどう聴くかでも全然違うわけで。


Softlyは既発曲が多いと言われてますが、別に今に始まったことじゃないです。
1986年あたりからその傾向はあり、

アルバム 割合(既:新) 新曲割合
POCKETMUSIC 3:7 70%
僕の中の少年 2:7 78%
ARTISAN 2:9 82%
COZY 5:10 67%
SONORITE 8:5 38%
RayOfHope 7:7 50%
SOFTLY 9:6 40%

数だけでいうと今作が一番多いですが、割合で言うと SONORITE が多い。

まりやさんも動揺の傾向です。

アルバム 割合(既:新) 新曲割合
REQUEST 5:5 50%
QuietLife 4:8 67%
BonAppetit! 8:7 47%
Denim 5:7 58%
TRAD 9:6 40%

昔のようにシングル1枚か2枚だして毎年アルバムリリースする、というペースならともかく、80年代中盤からアルバム発売のペースが落ちていき、1枚出すのに数年インターバルがあり、その間シングルも何枚も出していたらこういう構成になるのは当たり前で、Softlyに関しては、シングルや発表済の曲でも漏れている曲もあります(ミューズとかマイ・ガーディアン・エンジェルとか)。

リリースのプレスが出た段階では確かに、新曲は何曲か、というのは気になりますが、自分としてはそれが気になっているのはリリース直後だけで、その後は全然気にならない。アルバムトータルで流して聴いてそんなの気になります?

例えば ARTISAN を聴いていて、アトムの子はリリース後のシングル・カットだから既発ではないな、次のさよなら夏の日は、アルバム前のリリース。ターナーもシングルだけどアルバム後のシングルカットで・・・とか思います?

特に自分は ARTISAN なんかはリアルタイムで全く聴いてないけど、シングル曲は大体知っていたので、シングルがどれかまでは分かるけどいつリリースされたかなんて今調べて分かったくらい。なのでアルバムトータルで見ていくと、時間経過でどこの段階でリリースされたかなんてどうでも良くなるわけですよ。

損得感情で言っているのであれば、既発曲は全部リミックスされてます。

分かりやすいところだと、ミライのテーマはシンセの音がクリアになっているし、うたのきしゃはパーカッション増えてギターも増えている。Rebornはコーラスが大きくなっている。全体的に音が良くなってますね。別にそれに価値を見いだせなければ買わなきゃ良いだけのこと。そういう人はおそらく周年リマスター盤になんて手を出してないでしょうし、そこまでのファンでもないでしょう。


そんな既発曲がどうのこうのとか、全体主義がどうとか、本当にどうでもよくなるくらいアルバムトータルとして完成度が高い。もうこれ届いてから毎日聴いてますよ。さすが山下達郎という感想しかでてこない。邪念をサウンドが凌駕するんだな。