コステロの自伝、日本語翻訳版は発売直後に買ったものの、あまりのボリュームにまず驚き、仕事もプライベートも家族のことでもそこそこ忙しかったので、なかなか読む気になれず、積み本と化してましたが、先日ついに手を出しました。
昔、ライノのリイシューがリリースされた時に、コステロが書いたライナーを一生懸命翻訳してたんですが、やっぱり慣れてないので、どうしても翻訳できないところがあります。ライノのリイシューは、輸入盤がリリースされてから数ヶ月後に国内盤、というかライナーの翻訳が別冊で付いてくる国内流通盤みたいなのがあったんですが、それの翻訳読んでもあまり分からなかった、ってことがあって、おそらくコステロの英語はネイティブでも難しい表現なのかなと思ったんですが、この本はすんなりと読めました。凄いなぁ。
自伝というと、生まれてから今に至るまでという時系列で書かれているのが普通です。
うちにある自伝だと、バート・バカラック自伝もそうだったし、XTCのもそう。マイルス・デイビスの自伝もそう。
この本はそうではなく、テーマ毎に纏められてる。例えばインペリアル・ベッドルームの章は、そこに至るまでの話題が年代を飛び越えて纏められてる、みたいな感じ。なので、大分前に出てきたこの人誰だっけ?とか、この人と何のエピソードあったっけ?みたいなのは無くて、読みやすい。まあ、コステロの大まかなストーリーが頭に入ってない人にとってみれば、年代飛びすぎて分からん!となるかも。でもそういう人はそもそもこの本買わないだろうから。
それで、あまりにもデカい本なので、まだ5章くらいまでしか読めてないのですが、多分読み進めていくと前の方を忘れていくので、読みながら1章づつ何か残していこうかなと。
というわけで第一章は「ハマースミス宮殿の少年」、コステロの幼き頃のお話。
ハマースミス・パレスはコステロの父の職場。
コステロ(デクラン・マクマナス)の父、ロス・マクマナスもシンガーだということは有名ですが、ジョー・ロス・オーケストラというバンドで歌ってました。この辺りはアンディ・パートリッジが子供の頃にコステロのお父さんをテレビで見てた話を読んだことがあったり、「Mystery Dance」という2013年に放送されたコステロのドキュメンタリーで動く父の姿を見たことはあったのですが、より詳しく語られてます。
Discogsを見ると、1936年にシングルがリリースされていて、ジョー・ロスが亡くなった今も同じ名前で存続しているとのことで、老舗バンドですね。
Joe Loss & His Orchestra | ディスコグラフィー | Discogs
ジョー・ロスは1909年生まれなので、日本だと太宰治と同じ年ですね。
ジョー・ロス・オーケストラのヒット曲はこれだったようです。
・Must Be Madison (1962)
こういうのなんていうジャンルなんでしょう?ポピュラー音楽って言うのかな。
この時ジョー・ロスは53歳。ロス・マクマナスは35歳。
で、ロス・マクマナス作曲の曲もあったようです。
・March Of The Mods (1964)
が、基本的にはヒット曲をアレンジして演奏する、ダンスバンドだったようで、別の章で出てきますが、毎週のように新譜も家に持ち帰って覚えていたようです。コステロはそのおこぼれをもらっていたので大量のコレクションが家にあった模様。そりゃ音楽マニアになるわなーと。
で、自分なんかはハマースミスと聞くと、ハマースミス・アポロ(オデオン)の方がよく耳にするんですが、ハマースミス・パレスとは別のハコ。
やがてこのハマースミス・パレスはダンス・バンドではなくロック・バンドが演奏するようになっていったとのこと。クラッシュがこのハコを曲にしている。
コステロが初めてここで演奏したのは1979年の1月。
Concert 1979-01-30 London - The Elvis Costello Wiki
ルーモアのマーティン・ベルモントとデイヴ・エドモンズが参加していたようです。
1983年にも演奏していたようだが、この時はうまくいったとのこと。
Concert 1983-10-17 London - The Elvis Costello Wiki
ちょうど「Punch The Clock」の頃の大所帯バンド(アトラクションズ+TKOホーンズ+コーラス3人)の頃ですね。音源ありました。
「Trust」の写真はハマースミス・パレスで撮影したそうです。これかな?
続く。