昨日7/30は山下達郎初の試みでライブ映像配信を行われました。
これが普通の人が思い浮かべる動画配信とは異なるもので、なかなか新鮮でした。
配信元はMUSIC/SLASHという会社。
チケットは普通にイープラスで買って、通常のライブと同じ様に決まった時間に1回限りの配信のみ。見逃し配信とかアーカイブは行わない。映画館でのシアターライブに近いのかな。それが自宅で行われる、ということですね。
イープラスで買うチケットも1週間前に締め切りますが、これは同時接続数を事前に把握することで配信する側のインフラを準備するということと、通常のコンサートと同じ様に当日までの過ごし方を色々と考える、みたいな意味合いもあるとのこと。
前者に関して、SNSなどではオンライン配信なのに締め切りってなんだよ、とか、スケーラブルなシステムにすりゃいいのに、みたいな意見を見たのですが、僕も動画配信サービスではないですが、似たような同時接続数がかなり多いサービスを構築する仕事をしてますが、同時接続数の予測ってかなり難しい。過去のデータとか参考に予測はしますが、実際これが当たるかというと不明確ですね。想定より多めの接続数を見込んでインフラを作ってしまうと、サーバー代金もタダじゃないのでお金がかかるし、少なくしてしまうと、そもそもサービスが動かなくなってしまう。見逃し配信は絶対しない!という方針である以上、同時接続数を把握しておくのはかなり有効な手段だと思います。
スケーラブルの件ですが、それにしたってすぐにスケールアウトできるわけじゃないんじゃないかな。オートスケールといってもスケールアウトの閾値というのがあって、そこの設定が結構難しいはず。要するに同時接続数の増加率がこれ以上増えたら、とか同時接続数の絶対数がこれ以上になれば、サーバーを増やす、という設定をするわけですが、サーバーを立ち上げるのには、それなりのタイムラグがあるし、その間動画が見れないとか配信品質が落ちる、となったら、高品質の動画配信サービスで見逃し配信しません、と謳っている以上、そこを担保するためには、やはり事前に接続数が把握できた方が絶対良いわけで。
実際にどれだけのPVがあったかは不明ですがかなりの数を捌いたようです。
昨日の山下達郎さんの配信は、弊社から映像をプレーヤーから再生、エンコーダーに信号入力し配信に成功しましたので、この入力をライブのシステムに変えると生ライブも再生できることを実証できました。
— music/slash (@music_slash) 2020年7月30日
また、あれだけの人数が視聴されてもサーバーは問題なかった。
自信にはなっています。
さて、当日は普段より一時間半早く退社して、セッティングの確認を行いました。これもかなり入念に行わないと見られないですから。私もコンサートスタッフのようなノリでやらせていただきました。
さて、そもそも当初は Mac で見られれば良いかなと思ったんですが、高音質を謳っているのであればテレビで見たいなと。
ということで、私の環境はこんな感じ。
回線:ソフトバンク光で実測 下り90Mbps/上り90Mbps (日中)
端末: Mac Book Pro 2015 (OS X Catalina)
テレビ:Panasonic VIERA TH-49DX600 49V型
Wi-Fiルータ:NEC Aterm WF1200HP2
Wi-Fiは2.4GHzを使いました(5GHzは結構不安定なので・・)
端末-テレビ間は、HDMI接続。テレビ側にデジタル音声出力があるので、D/A変換してコンポから音を鳴らそうと思ったんですが、D/A変換すると動画の場合ラグるので、やめました。そもそもテレビ側の音質がまあまあ良いのでそちらに任せた、という感じです。
Mac側はデュアルディスプレイ設定にしてテレビ側にSafariを持っていって全画面表示しました。まあ、普通の人はそうすると思いますが。
で、開始一時間前から待機してたら、これが通常のコンサートと同じ様に客入れ用のBGMが流れるんですね。オールディーズナンバーが多かったですが、本人の「I Love You part 1」とか「おやすみロージー」のカラオケバージョン(これは Previously Unreleased のはず)が流れていたりしました。
そして・・・定刻。
まずは京都のアコースティックライブの映像から。実は私は小樽ゴールドストーンのアコースティックライブというプラチナチケットが当たっているのでアコースティックライブの雰囲気は知っていたのですが、京都拾得というまたゴールドストーンとは全然違う雰囲気の場所で演奏していて、なかなか興味深い。この日の流れた曲は全部ゴールドストーンでも見た曲でした。
- ターナーの汽罐車
- あまく危険な香り
- 砂の女 (鈴木茂 カバー)
- 希望という名の光
- Since I Feel For You (Buddy Johnson カバー)
- What's Going On (Marvin Gaye カバー)
この後に、氣志團の綾小路翔が話す映像が流れ、氣志團万博で山下達郎が出てくる前のビジョンに映し出されたものと同じものと思われます。
この日の演奏曲はフルセットで流れました。
- ハイティーン・ブギ (近藤真彦提供曲のセルフカバー)
- Sparkle
- Bomber
- 硝子の少年 (Kinki Kids提供曲のセルフカバー)
- アトムの子
- 恋のブギウギ・トレイン (アン・ルイス提供曲のセルフカバー)
- さよなら夏の日
氣志團万博に出たのは知っていて、勝手に晴れた昼の演奏を想像していたんですが、全然違いましたね。当日は雨でしかも夜だったんですね。
これで、終わりかと思いきや、ボーナス映像が2つ。
まずはアカペラコーナーですが、1986年の映像で「So Much In Love」。
これで終わりかと思いきやボーナスもう一つ、「プラスティック・ラブ」、これ多分ですが「Joy」のバージョンと同じですよね?すごい映像が出てきたなぁと。
ということで、私は堪能したわけですが、中にはチケット代4500円なんて高すぎる、という人もいるわけですね。モノの価値というのは主観的なものなので、「動く山下達郎の映像が見られる」ということに4500円も出せねーよ、という人はそういう価値判断なので全然それで良いと思います。ただ、僕は「動く山下達郎の映像が見られる」ことに価値を置いているので、適正価格だと思いました。
なんか最近、買ってもいない第三者が「この価格でこれだけ?ボッタクリじゃないの?」みたいなことを言いたがりますが、価格がおかしければ当然売れないわけで、それが売れているということはそこに価値を見出して買っている人がいる、ということなので別に外野からイチャモンつける必要ないと思うんですけどね。
例えば、バート・バカラックの来日公演、結局中止になってしまいましたが、チケット20000円オーバーだったんですよ。自分の場合、東京までの交通費や宿泊費も入れたら、まあ8万くらいになってしまうわけです。バート・バカラックは好きですが、8万かけてまで見たいか、と言われるとそこまでの価値はないと思っているわけです。一方、年齢も90歳オーバーでもう見るのがラストチャンスかもしれない。そう思えば20000円なんて安いもの、と思う人がいても良いと思うし。客観的な適正価格ってのは、生活必需品ならともかく、特にエンタメ系のコンテンツの場合は、設定が難しいと思います。
ただ、再度書きますが、僕にとってこのコンテンツに4500円は決して高いものではなかった。
そもそも、サンデー・ソングブックが毎週無料で聴けちゃうことが驚きですよ。毎週500円払ってもいいと思ってる。
まあ、ただ問題もなかったわけじゃないですが。
自分の場合、小学生と幼稚園の子供がいるので、20:00〜21:00台はそろそろ寝る時間なので、なかなか大音量が出せないという住環境の問題があります。あとそもそも寝る前は子供がうるさいので大音量で聴けても子供に邪魔されるってのもあります。解決し難い問題なので、本当は映画館で見たかったな、ってのはありますが、まあ概ね満足です。
次もあるんですかね?