俺の記憶ストレージ Part 1&2

色事を担当する色男

ついにワイヤレスイヤホンに手を出したの巻 (SHURE RMCE-BT2)

去年、Uncommon の 3E-OFC というMMCX対応ケーブルを買ってリケーブルしたということを書いたのですが・・・。

 

shintaness.hatenablog.com

 

 

昨年の秋頃、左のイヤホンがたまにノイズが載るというか接触が悪いというか、そういう感じになり、最初は MMCX の接合部分の接触が悪いのかと思い、掃除したりしてみたのですが、全然改善しない。それで、MMCXに近い箇所のケーブルを触っていたら、良くなったり悪くなったりといった模様。MMCX側にケーブルを押し込んだら直るので、やはり断線しかかっているという結論に達しました。パット見、断線するような風貌に見えないのですが、調子はすこぶる悪い。買ってからまだ半年なのになあ。乱暴に扱ったつもりもないのになぁ。ケーブルは消耗品だとは思うんですが、半年は短すぎる。どうにも残念です。残念ですよ!

 

あと、iPhone で聴く場合は Lightning と 3.5mm のステレオミニプラグの変換ケーブルが必要になるのですが、これもすぐ壊れるんです。今までで少なくとも4回は壊れている。ウンザリです。Uncommonのせいでは無いんですが、ウンザリです!

  

今の時代的にはBluetoothイヤホンなのかなぁ・・・とうとう手を出すのか?と思ったりもしたのですが。AirPods は知り合いのものを借りて使って見たのですが自分の耳には全く合わず、無くしてしまう確率100パーなので無理。※ただ、最新のAirPods Proだと大丈夫なのかも。

 

そもそも、気に入っている JVCのHA-FX850 の音から離れなれない問題というのがあります。

 

www3.jvckenwood.com

 

ヨドバシカメラでいろいろ視聴してみても、やっぱりいちばん気に入った音がHA-FX850。このウォーミーな重低音な音を聴くと、他のイヤホンでは満足出来ない。

 

FX850はリケーブル可能なので、ケーブルとBluetoothがセットになっている製品があれば良いんだけどなぁと思って探していたら、やっぱりそういう製品がありました。

 

そのなかで選んだのが、SHURE の RMCE-BT2 というやつで、お値段はまあまあしますが、これで本体との接続はワイヤレスになる!ということで思い切って購入してしまいました。

 

RMCE-BT2 - RMCE-BT2 Bluetooth® 5.0 高解像度 オーディオ プレミアムワイヤレス イヤホンケーブル

  

 

なにやら、これの前身モデルの RMCE-BT1 というのがあるらしく、それよりも音質が向上しているというウワサですが、聴き比べしていないのでなんとも言えません。ただ、音質は普通に良いです。有線と遜色ないです。

 

www.phileweb.com

 

  

※「有線と比べるとやっぱり違いますねー」と書いた方が違いのわかる男みたいでカッコいいのでそう書きたかったのですが、正直、僕の耳では全然分かりません。

 

Bluetooth イヤホン自体、初めてだったのですがペアリングして、スピーカー選んで・・・と簡単ではあります。

 

こんな感じ。

 

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イヤホンを選んで・・再生!

 

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佐橋佳幸さんの「Zocalo」は、もともと音が良いソースなのですが、FX850でクリアでウォーミーなサウンドは、Bluetoothを通しても健在でした。 

 

買ってから1ヶ月以上経ちますが、音飛びは・・・たまにありましたが、それは有線でもたまにあったので端末側の問題かもしれません。iOSのなんかの通知のタイミングで飛んだりするので。サウンドはまったく問題なし。満足です。

 

が、まったくデメリットもないわけではないので、それもちょっと書きたいと思います。

 

・重量問題


カタログスペックとしては 68g なので、そんなに重くはないのですが、それでも若干、耳が引っ張られる感覚はあります。そもそもFX850が重たい部類ではあるのですが、有線イヤホンだと感じなかったのがこの製品だと感じるのですね。

で、その重さを感じないようにするためのクリップがあるのですが、そのクリップ問題はこの次に。

 

・クリップが硬すぎる

プラスチック製のクリップではなく、金属製のクリップでなかなか頑丈そうで、この点は高評価なのですが、なにしろ頑丈すぎてクリップ自体を開くのに一苦労。大人の力で頑張っても3mmくらいしか開かないので、シャツの前たてや胸ポケットに挟む分にはなんとかなりますが、今、北海道は冬で、ただぶら下げるだけになってます。自分はメルトン素材のコートを着ることが多いのですが、これが5mmくらいなので分厚くて挟めないのですねー。まあ、そもそも雪が降ったらコートの中に入れる必要が出てくるのですが。襟の高いマウンテンパーカーの場合は襟と首の間の空洞に入れておくことはできます。なのでマウンテンパーカーの場合は重量問題は一応解決はします。

 

SHURE掛けできない

HA-FX850 とこの RMCE-BT2 の組み合わせでは、SHURE掛けはできません。なぜかというと、HA-FX850 のイヤホン側が斜め下側にカナルが付いているので、ケーブルを耳にかけようとしても長さが足りなくて無理なんです。

 

・リモコンの操作性

 電源On/Offが長押しなんですが、これが5秒でちょっと長い。次の曲/前の曲に進む操作も、3秒長押しで、ちょっと長い。ほんのちょっとなんですが、自分の感覚よりも25%くらい長い感じ。

そもそも単押しでボリューム調整や一時停止などができるんですが、これも若干タイムラグがあって、データ送信量的には音源の転送よりは圧倒的に少ない気がするんですがなぜなんでしょうね。(どういう仕組みかはよく知りませんが)AVRCPの場合、割り込みの優先度が低かったり、ポーリング周期が長かったりするんでしょうか?まあそこまで気にはならないんだけど。

 

ここから下は、有線から無線に変えたときのデメリットになりますので、必ずしもこの製品に限った話ではないです。

 

・タイムラグ問題

無線にしてからこういう問題があるってことを認識したんですが、タイムラグは出てきます。音楽だけ聴いている分にはラグったところで、同期するものがないのでどうでも良いんですが、問題は、動画とかゲームのように画面とサウンドが同期する必要があるものですね。で、この製品の場合、タイムラグがあるかないかで言うと、若干はあります。ただ、Youtubeではほぼ気にならないレベル(ほんの少しだけラグってます)。ゲームの方がラグが顕著です。自分は音ゲーは全くやらないので、音ズレしても気にならないのですが、ジャンルによっては有線の方が良いかも。

 

・電池問題

これもこの製品に限ったことではないのですが、やはり電池がないと何もできないわけでして、充電が不要なワイヤードと比べると、充電が煩わしいというのはあります。一応、10時間連続再生は可能で、スタンバイ中の消費電力はほとんどないとのことなので、普段使いならまあ許容できるかなと。(スタンバイといっても接続したまま停止状態だと電池は減るので、切断はしないとならないと思います)
自分の仕事は業務上、音楽を聴いていてもできる仕事なので、イヤホンをしながら仕事することもあるのですが、そういう時は結構減ってます。

 

 

・断線問題からの解放

正確に書くと、機器側との断線への懸念からの解放になりますが、iPhoneとイヤホンの間にLightningケーブルがあり、この部分の断線からは解放されます。これは割と重要で、iPhoneをパンツのポケットに入れたまま座ろうとするとこの接続部に圧がかかるわけですね。それが断線の原因になるわけです。なので、座る時は極力iPhoneをポケットから出してから座る、という煩わしいことをやっていました。これから解放されたのは結構大きい。LightningケーブルはAppleの保証対象なので、一応、保証期間内に何度か交換してもらったことはあるのですが、iPhone 11 からは付属しなくなり、サードパーティ製のものしかありません。これが1000円以上はするので、なかなか雑には扱えないのです。

 

ということで、デメリットは一応書きましたが、それを凌駕する便利さがあり、基本的には良い買い物をしたと思っております。
Amazonでは今、13,340円ですが、自分が買った時はブラックフライデーのタイムセール時で 12,130円と多少お安くなってました。

 

 

 

さて、ここから下はややマニアックな話を。調べたことをどこかに書き記して置こうと思い・・・。

 

有線と無線の音質の違いは何なのか。そして本当に違いはあるのか?という話。ネットを見ると、「やはり、無線だから有線よりは音が落ちる」という評価をよく見るわけですが、有線も無線もデジタル音源を何らかの方法でデジアナ変換して鼓膜まで届いているのは同じなわけで、もし違いがあるなら無線部で音質が劣化する要因があるはずで、本当にそうなのか?そうなのであれば何なのか?と思ったわけです。


そもそも、BluetoothA2DP の仕組みをきちんと分かっていなかったので調べてみました。

 

その前に基礎知識のおさらい。

 

Bluetooth 自体は、音楽再生に限った仕組みではなく、近距離で無線通信を行うという規格なので、基本的にはデジタルデータであれば何でも転送できます。

で、そのデジタルデータを Bluetooth で通信するための手続きを定めたものをプロファイルと呼んでいまして、この中に音楽再生用のプロファイルというのがあり、それを A2DP (Advanced Audio Distribution Profile) と呼んでいて、基本的に Bluetooth 対応イヤホンはこのプロファイルに沿って実装されています。

 

※ 「基本的に」と書いたのは、例えば再生機器側とイヤホン側を独自プロファイルを策定して作ることも可能なのですが、特殊な例なので割愛。

 

iPhone の場合は、非Apple製のイヤホンでも使用可能なので、当然 A2DP で通信を行います。

 
※ ちなみに、ソフトウェア・エンジニアの端くれである私は、その昔、SPPという(超基本的な)プロファイルで単純な通信を行うプログラムを書いたことはあります。

 

A2DP (Advanced Audio Distribution Profile) については以下、KDDIのサイトからの引用。

 

A2DPとは、Advanced Audio Distribution Profileの略で、Bluetoothのプロファイルの1つのこと。接続する機器が同じA2DPに対応している場合に利用できる。ハイクオリティオーディオのためのプロファイルで、音楽を端末からヘッドセットやスピーカーに送信することが主な目的。
技術的にはBluetoothの非同期接続チャンネルを利用し、無線に乗せて音楽のデータを送信している。Audio/Videoプロファイル群に含まれ、音声データは圧縮転送される。コーデックは「SBC」(SubBand Codec)が必須となり、「MPEG-1 オーディオ」や「MPEG2/4 AAC」「ATRAC」もオプションとして利用可能。また、メーカー独自のコーデックにも対応している。
最近のBluetooth搭載携帯電話のほとんどが、このA2DPに対応。対応のイヤホンやスピーカーなどを使えば、ワイヤレスで音楽を楽しめる。遠隔でのリモコン操作が可能になるAVRCPとセットになっていることが多いが、A2DPのみの場合もある。

 https://www.kddi.com/yogo/%E3%83%A2%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%AB/A2DP.html

 


音をデジタルデータとして格納する際は、いろんなフォーマットがありますが、非圧縮(※ 自然界にある音をデジタルデータ化している時点で厳密には非圧縮ではないと思うのですが、まあ非圧縮としましょう)のPCM(WAV)とか、人間の耳で聞こえない周波数(非可聴周波数)をカットして圧縮したMP3とかAACなどがありますが、基本的にPCMはサイズがでかいので、再生機器とイヤホンの間の無線区間は、できるだけ転送サイズを小さくしたいので、圧縮データを転送するわけですね。

 

圧縮されているデータがイヤホン側に来るということは、その圧縮データをコーデックを用いてPCMに変換して、そのPCMデータをアナログ変換して、その音声がケーブルを通ってイヤホンのドライバーユニットまで到達し、人間の耳の鼓膜まで届くのですね。

 

で、RMCE-BT2 がどんなコーデックに対応しているかと言うと、
SBC、AACQualcomm® aptX™、aptX™ HD、aptX™ Low Latency
とのこと。

 

iPhone の ミュージックアプリの Bluetooth送信側 は SBC / AAC に対応しているそうです。自分の iPhone に入っている音楽データのほとんどは AAC音源なので、このまま無線転送されるのか?と思ったら、どうやら iPhone の場合は、そうではないようです。詳しくは以下に記載がありました。

 

www.phileweb.com

 

つまり、再生する音楽と、iPhone 側の SE とミックスするケースがあるので、再生音源を一旦 PCM にエンコードして、iPhone 側の SE とミキシングした上で、AACに再エンコードした上で、無線転送するということのようです。

つまり、有線と無線の違いは、再エンコードするか否かになります。

有線の場合も、iPhone側のSEとのミキシングは行われますが、それは再エンコードされずにアナログ化されてイヤホンまで届くと。
無線の場合は、再エンコードされた上で、Bluetoothイヤホン側のユニットに届き、そこのAACコーデックを使ってデコードしてPCM化し、アナログ化されてイヤホンに届く。

つまり、この無線通信の再エンコード時にどのようなエンコードが行われているか、ですね。

通信で使われている Bluetooth のバージョンは、5.0 なのですが、転送時に使われるのは実際には Bluetooth 2.1 だそうです。

 

www.phileweb.com

 

さらにここには、驚きの事実が書いてあります。

しかし、音楽再生にそこまでの高速性は要求されなかった。A2DPで必須とされるコーデック「SBC」のビットレートは規格上512kbpsが上限だが、輻輳を原因とする音飛びやノイズを避けるため、実際には345kbps/ステレオ以下で運用されている。音質で有利とされるaptXは上限384Kbps、aptX HDでも576kbpsだ。EDRを利用するLDACの場合、2種類定義された転送レート(2Mbpsと3Mbps)のうち2Mbpsを使用するが、通信環境を考慮すると1Mbps以下での運用が現実的とされる。それがLDACのビットレート上限が990kbpsとされている理由だ。

 

ということで、再エンコードすると言っても、低ビットレートで行われている訳ではなさそう。


もちろんハード側の処理能力にもよりますが、現時点で最新の iPhone 11 Pro なので、可能な限り高ビットレートで行われているのではないかと。

もちろん、Apple Lossless の音源を Bluetooth で聴くと、再エンコードで確実に情報が削られるはずなので、論理的には音質は落ちるはず。「BT2でもやっぱり有線の音には敵わない」と言っている人はロスレスな音源を聴いていた可能性もあります。

 

自分の場合は、前述したとおり、はっきりわかるほどの違いが分からない・・・というか全く違いが分からない。アラフォーで、モスキートーンも聴こえない耳です。 


そもそも良い音とは何なのでしょうか?

 

良い音を得るためには、イヤホンももちろん重要なんですが、それ以外の要因もあります。


そもそも音源が録音された時の環境(機材やスタジオ)、マスタリング、音源の圧縮フォーマットやビットレート/サンプリングレート、再生機器などのハードウェア、コーデックなどのソフトウェア、騒音、自分の体調など、いろいろなものに左右されます。

 

その中で、たまに自分の敷地内に電柱を立てたりする人もいますが、そういう音質のプロはさておき、自分の耳で違いの分かる範囲で、予算とコストパフォーマンスに見合った音質の最適化をしていくべきだと自分は思っています。

 

僕の知り合いに、小さいラジカセで音が聴ければ良いとか、ダイソーのイヤホンで十分とか、CDのリマスター盤なんて意味がない、とかそういう人もいるんですが、流石に自分の耳はそれらの違いは分かる。

 

ですが、イヤホンも¥30,000オーバーだとそれほど顕著な違いがあるかどうか、自分の耳では判断できないし、ましてや庭にマイ電柱を建てるなんてことは、費用対効果を考えるととてもできるわけがないのです。

 

で、僕にとっては、上で書いた、Bluetoothイヤホン使用時に再エンコードを行っているかどうかは「些細なこと」にカテゴライズされます。正直、まったく違いが分からない。

 

ただ、自分が分からないんだから他人も分からないだろう?とは思いません。分かる人には分かると思う。でも自分には分からない。

 

であれば、あくまでも身の丈にあった最適化で幸せになれれば良いのではないかと自分は思うわけです。