最近のギター・マガジンが攻め過ぎてて凄い。最新号はもちろん、ここ数年で興味があって買ったのだけでも以下ズラリ。
- 2018年7月号 ディスコ天国
- 2017年10月号 ジャパニーズ・フュージョン/AOR
- 2017年7月号 モータウンの歩き方
- 2017年4月号 恋する歌謡曲
- 2017年3月号 進撃のジャズファンク
- 2017年1月号 僕らのJC(ジャズ・コーラス)
- 2016年8月号 逆襲のジャズマスター
バックナンバーを見ていたら、こういう路線になったのがおそらく「逆襲のジャズマスター」の回で、これの表紙を本屋で見たときは「おいおい」と思いました。
フェンダーといえばストラトキャスター・テレキャスターがメインストリームで、Charの使っていたムスタング、カート・コバーンのジャガー、あたりがその次くらいで、ジャズマスターは使用しているミュージシャンが即座に思い浮かばない機種かなと。
自分はエルヴィス・コステロの大ファンなのでもちろん脳内では「ジャズマスター=コステロ」になっていますが、そんな人は多くないはず。店頭で見た瞬間大喜びで買いましたが、「ジャズマスター特集で売れるのかしら」と不思議に思ったのも事実。
その後も「ビザール」(60年代の奇抜なギターのことを言うらしい、知らなかった)「ギブソンSG」「ポール・リード・スミス」などなど、マニアックなギターの特集を連発。
「ジャズ・コーラス」の特集も衝撃でした。マーシャルとかフェンダーのツインリバーブならまだ分かるんですが、ジャズコーラスですか・・・。
ジャズコーラス大好きなんですよね。
編集長のインタビューを要約すると、つまり「立ち読みできないくらいの情報量にしたい」と。いやー、まさに立ち読みする気なんておきないくらいの情報量です。家帰って、子供が寝静まってから、ギター片手にコーヒー飲みながら読みたい。そんな雑誌になってます。
尾藤:うれしいです。やっぱり、雑誌というものの役割が変わってきていると個人的に思うんですよね。例えばギター・マガジンという雑誌は、アーティストのインタビューや新製品の情報、ライブレポートみたいな雑多な情報の集合体だった。でも今は、その手の情報はWebがいち早く取り上げますよね。だから雑誌を買っても既に見た情報が載っているだけという状態になってしまっていて。
そういう現状もあったので、ギター・マガジンは雑多な情報の集合体から、あるひとつの情報の集合体にしようと。そこに内容に重さや深さも加えたかった。雑誌ってサラッと立ち読みすれば満足できるものも多いと思うんですが、ギター・マガジンは「あ、これ立ち読みしたら2時間くらいかかるな」というものにしたい。そこまで作り込めば家に持って帰ってもらえるかなと。
ジャズマスターの号より前は、確かに本屋でちょっちょっと立ち読みして、しかもあれがPlayer誌だったのかギター・マガジンだったのか記憶に残らない感じでした。
さらに昔の誌面は、取り上げられているのも、メジャーというか、3大ギタリスト(ベック・ペイジ・クラプトン)、キース・リチャーズ、ジミヘンとか、個人的には「もうええわ」と言いたくなりそうなラインナップばかりのイメージ(あくまでもイメージです)。ディスコとか歌謡曲とかは絶対に取り上げないイメージがありました。それがいつの間にかこういうことに。
「雑誌が売れない」と文句を言ってもしょうがない。なんとかしないと生き残れない。こういう特集は綿密な調査も必要なので骨が折れるとは思うんですが、見事は方針転換だと思います。雑誌の作りとしてはレコード・コレクターズとか、DIGとかそういうのに近い感じで、さらにギター・マガジンだけあって、ギターが中心にある視点は変わらずに、なかなか僕にとっては理想的な誌面です。
#奇しくもレコード・コレクターズもディスコ特集になってますが、なんでなんですかね・・・。
この情報量じゃチラ見できないので、僕はギター・マガジンとレコード・コレクターズは買うんですよね。
反対に最近のミュージック・マガジンは、特集と称しても数ページくらいで内容が薄い感じがします。今月号も特集がチャットモンチーなので期待したのですが、インタビューはまあ良いとしても、バイオグラフィーなんかファンならとっくに知っているし、いまさらディスコグラフィー載せられても・・・と。まあ、ロキノンの印象が強いのでミュージック・マガジンに載るのが初めてなのでしょうがないかもしれないけど、やっぱり数ページだけの特集なのであまり買う気にもならないし・・・。あれだとチャットモンチーの各アルバムForever Editionのライナーノーツの方が読み応えあります。
いちいち政治ネタに絡めようとするスタンスもどうかと思います。音楽的に?でも政治スタンス的に合えば取り上げようとするし、逆も然り。僕は純粋に音楽的にどうか、というのを読みたい。そういう意味だとターゲットを一般的な音楽リスナーじゃなく、ギタリストに向けたギター・マガジンが行う特集は音楽的にピュアだなと思います。
「政治と音楽は切り離せない」とかウダウダ言う人がいます。個人的には音楽に政治的な要素があってもいいし、なくてもいい。だけど音楽より政治が上に来られると興ざめです。あくまでも音楽上位のスタンスで行ってほしい。
ミュージック・マガジンのことばかりであれですが、数年前からアイドルも取り上げだして、ちょっと裾野を広げだしたかな?と思ったのですが、これもなんか熱量が感じられない。なんか、「俺らが”あえて”アイドル特集やってます」みたいな斜に構えた感じが。「一応、こういうのも社会現象だからとりあげるよー」みたいな(だけどAKBとか坂道系は絶対取り上げない謎)。果たしてあの特集を誰が望んでいるのか、あまりイメージできませんね。
BURRNも、創刊者を追い出して一新しようとしても、イメージは全然変わらないですね。むしろ「ヘドバン」にヤラれている感があります。YOUNG GUITAR は、ついこの間の号なんかは奇をてらったのか、家電批評とかMONOQLOみたいな表紙にしてますが、僕の手は伸びませんでした。そういうことじゃないんだよなぁ・・・と。
ということで、僕の推しはギター・マガジン一択です。あ・・レコード・コレクターズも。
Guitar magazine (ギター・マガジン) 2018年 7月号 [雑誌]
- 作者: ギター・マガジン編集部
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2018/06/13
- メディア: 雑誌
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※余談ですが、2018年7月号に「ザ・ビート」が見開きで載っていたのは中々の衝撃。ザ・ビートなんてほとんど知っている人いないでしょう・・・。
愛読書のレコード・コレクターズでも名前を見たことがありませんよ。