俺の記憶ストレージ Part 1&2

色事を担当する色男

「コステロさん、美メロを1曲に詰め込みすぎじゃね?」

ここ日本におけるエルヴィス・コステロの紹介文について、「『ノッティングヒルの恋人』の主題歌『She』や、『空から降る一億の星』で使用された『Smile』などが有名で」なんて書いてあり、まあどちらも悪い曲ではないんですが、結局カバーだし、全キャリアを通してもそれほど重要な位置にあるわけでもないし、なんだかなぁ~という感じがいつもしているのです。

 
『Veronica』なんかは昔とくダネ!で使われてたことがあって、これもよく引き合いに出されますが、ワーナーに移籍したばかりで心機一転した『Spike』でも重要な曲だし、ポール・マッカートニーとのコラボ曲だし、ポールもベース弾いているし、こっちが紹介されるのはまあ良いんじゃないかと思います。
 
それはさておき、前回、ブルース・トーマスのベースが光る曲特集をやろうかと思ったのですが、やっぱり後回しにして、コステロがカバー曲シンガーじゃなくて、稀代のシンガーソングライターだということをお伝えすべく、「コステロさん、美メロを1曲に詰め込みすぎじゃね?」というコンセプトで選曲してみました。
 
普通のポップソングは、Aメロがあって、Bメロがあって、サビがあってみたいな感じですが(ちなみに英語圏ではこれをヴァース−プリコーラス-コーラスみたいな感じで言うのですが、あまりピンと来ないような気がするので日本式で行きます)、コステロさんの場合はAメロ、Bメロ、サビ、Cメロみたいな構成になったりすることがあります。さらに後半に大サビが来たりします。こう書くと、プログレみたいな長尺な曲かと思ってしまいますが、彼の場合は3分くらいで収めてしまうのがまた粋だと思います。そしてそのパーツそれぞれが凄く良いメロディだったりするから、堪らないわけです。僕がコステロにハマったのは彼が巧みな作曲家だからなんですねー。
 
それではリリース順に「コステロさん、美メロを1曲に詰め込みすぎじゃね?」曲を発表したいと思います。
 
まず1stアルバムの『My Aim Is True』からライブの定番『(The Angels Wanna Were My) Red Shoes』なんですが、こんな曲です。
 
 
構成的にはイントロ-Aメロ-サビ-Bメロ-Cメロ-Dメロ-Bメロ-Aメロ-サビ-大サビ-エンディングへ、というかなり複雑な構成ですが、3分に満たないです。このアルバムは高校生の時にはじめて聴いたのですが、とにかくインパクトが凄かった。短い曲にまあよくここまで詰め込んだな、と。
 
ちなみに、この頃のコステロはパンク枠で語られますが、このアルバムでパンクっぽいのは敢えて言うなら『Mystery Dance』くらいなもので、後はちょっとアメリカンな匂いのするスワンプなロックだったりするわけで、ピストルズとかクラッシュとかダムド的なものを期待して聴くと全然違います。
 
お次が2ndの『This Years’s Model』からこれまたライブの超定番『Radio Radio』です。
 
構成としては、イントロリフ-Aメロ−サビ-イントロリフ-ブリッジ-Aメロ-Bメロ-サビ-イントロリフに載せて大サビ連呼、これで3分強。
 
これはラジオ局批判の歌詞なんですが、生放送中に歌わないでくれと局に言われたのに、『Less Than Zero』の演奏を途中で止めてこの曲を歌い出したのは結構有名な話です(むしろそういう態度こそがパンクだったのかもしれない)。ちなみにこのやりとりは数十年後にビースティ・ボーイズにパロディされるのも結構有名な話だったりします。
 
次はちょっと時代が飛んで、1991年の『Mighty Like A Rose』から『The Other Side Of Summer』で、なんかビーチボーイズのオープンコーラスをパロディにした、ビートルズで言うところの『Back In The USSR』的な曲みたいです。曲調は全然違いますが・・・
 
 
構成はAメロ-サビ-Bメロ-サビ-Bメロ-Aメロ-サビ数回繰り返し-アウトロみたいな感じですね。
 
ついこの間、海外のサイトで見かけたファンが選ぶコステロのアルバムで、このアルバムはかなり後半の方でした(ギリギリ『Goodbye Cruel World』に勝っていたようなそうでなかったような・・・)。たぶん、アイリッシュ・トラッド的というかフォークというか、小難しい曲が多いからなのかなーと思いますが、この曲はとても親しみやすい曲だと思います。
 
次に1994年の『Brutal Youth』から『Pony St.』で、久しぶりにアトラクションズとの再演アルバムですが、この曲のベースはニック・ロウで曲によってはブルース・トーマスだったりコステロだったりするのでアトラクションズ名義ではないアルバムです。でもとてもアトラクションズっぽいアルバムですね。
 
 
構成は、イントロ-Aメロ-Bメロ-Cメロ-サビ-Bメロ-Cメロ-サビ-Aメロ風の大サビ−アウトロという感じ。
 
そして同じアルバムから英国風バラード『London's Brilliant Parade』です。
 
構成はイントロ-Aメロ-サビ-Bメロ-Cメロ-Aメロ-サビ-Aメロ-サビ−サビ、です。こうやって書いてみてはじめてBメロとCメロが一回しか出てこないんだなーとわかりました。
 
これはブルース・トーマスが弾いてます。超上手いです。ニック・ロウのラウドなベースも悪くはないんですが、ブルース・トーマスはベースが歌うんですよね。エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズの場合、ブルース・トーマスのベースとスティーブ・ナイーブのキーボードがリードで、コステロのギターとピート・トーマスのドラムがリズム隊って感じですね。The Whoと似てますが、The Whoの場合、キース・ムーンのドラムも歌っているようなものなのでリズム隊と言えるかどうかは微妙なところではありますが・・・
 
最後は、2008年の『Momofuku』から『No Hiding Place』です。
 
 
構成はイントロ−Aメロ−サビ-ブリッジ-大サビ-Aメロ-サビ-サビ-ブリッジ-ブリッジ-大サビ-間奏-アウトロ(←ここでまた新しいリフレインを投入)という変態曲ですね。
 
「サビ-ブリッジ-大サビ」は一纏めじゃないか、という人もいるかもしれませんが僕の分け方はこんな感じですね。はじめて聴いた時は「Pony St.」に似てるなーと思ったのですが、サビの「ハイディングプレーーーース」と「ポーニストリーーート」が似ているのと、あと構成が複雑だったからだと思います。
 
ちなみにコステロさんは8年おきにロックなアルバムを出す説がかつてありまして、
1978年 『This Year's Model』
1986年 『Blood & Chocolate』
1994年 『Brutal Youth』
2002年 『When I Was Cruel』
まではその説が当たっていたのですが、『Momofuku』は似た系統ですが2008年リリースなのでここで崩れたって話があります。まあどうでも良い話ですが・・・。
 
2002年から2008年までの間はジャズ(『North』)とか泥くさいやつ(『The Delivery Man』)とか、ニューオリンズ(『The River In Reverse』)とか、クラシカル(『Il Sogno』)なものとかに手を出していたので早めにロックやりたかったんじゃないかなーと勝手に思っています。
 
まあ、まだ構成が複雑な曲は結構あるんですが、キリがないのでこの辺にしておきたいと思います。
 
次回はやっぱり「ブルース・トーマスのベースが光る曲」か、「ミスチルをあまり知らない自分が選ぶミスチルっぽい曲」にするか悩んでおります。