俺の記憶ストレージ Part 1&2

色事を担当する色男

21th Elvis Costello (Part VIII) -「The River In Reverse」

「The River In Reverse」 は2006年のアルバム。

 

ザ・リヴァー・イン・リヴァース(初回生産限定盤)(DVD付)

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これは、ハリケーンカトリーナが無かったら生まれなかった作品で、カトリーナで被災したニューオリンズ支援のために作成されたアルバムで、アラン・トゥーサンとのコラボアルバム。アラン・トゥーサンのカバー曲(トゥーサンにとっては新録だが)とコステロの自作曲(共作含む)が半分づつで構成されてます。

このアルバムが出た頃は、ニューオリンズものは全然聴いてなくて(今も大して知らないが)、アラン・トゥーサンって誰?状態・・・いや、名前はウイングスの「Venus And Mars」に参加してたり、コステロの「Spike」の「Deep Dark Truthful Mirrors」に参加していたから知っていたけど、ニューオリンズにいる有名人なんだな、くらいの認識。その状態で聴いたんですが、トゥーサンの曲の凄さに一発ノックアウト。

音も良いアルバムなので(この場合の音が良い、というのは、分離が良いとか原音再生が云々ではなく、心地良いという意味)、このアルバムの曲ばかり聴いてしまい、オリジナルは後回しで聴いてました。オリジナルは録音が古くローファイなので、まあそれはそれで味はあるのですが、このアルバムの方が現代の耳には聴きやすいと思います。コステロの声の好みはあるとは思いますが。音が良いので、ヘッドホンを新調する際のサウンドチェック用にこのアルバムから数曲使ってます。

さらにここから7年後くらいに大滝詠一の「ナイアガラ・ムーン」を聴いて、「あ、これニューオリンズっぽい!」と即座に分かったのは、このアルバムを聴いてたから。「楽しい夜ふかし」の元ネタがアーニー・K・ドゥの「Mother-In-Law」で、これはアラン・トゥーサンの曲。ここで繋がったか、と思いました。

 

演奏は、インポスターズの面々にアラン・トゥーサンのピアノとホーン隊を入れたものになります。インポスターズ・・・上手い。ロックな曲はタイトに、南部の曲はタメを作った南部らしい演奏に、と自由自在。このバンド最強ですわ。「Delivery Man」のところでも書いたけど、デイヴィ・ファラガーのバックコーラスが上手い。アラン・トゥーサンとデイヴィがバックコーラスなんだけど、すごく上手い。

一方、コステロ/トゥーサンのオリジナル曲は概ねニューオリンズ風のアレンジが施されてますが、メロディはコステロの比重が多いのかなと。というのは、良い意味でも悪い意味でもコステロの手癖が目立つ曲が多い感じがするので。

 

なお、アラン・トゥーサンはこのアルバムから9年後の2015年に他界。その時にこんなこと書いてます。しかし、ボンバーマンとかレッキングクルーについて書いてたのはすっかり忘れてました。

shintaness.hatenablog.com

 

で、いまふと思ったら、ロードランナーでスタートボタンを押したあとのBGMもニューオリンズだ。

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・On Your Way Down

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オープニングは、いきなりヘヴィなリズム・アンド・ブルース。トゥーサンの曲ですが、これファーストリリースは誰のバージョンだったんでしょうか。Discogsによると、トゥーサン自身のバージョンが1972年で、リー・ドーシーとリトル・フィートが1973年。

 

・Nearer To You

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個人的にはこれがこのアルバムでのベストトラック。トゥーサンの曲で、ファーストリリースはベティ・ハリス(1967年)なんですかね。それ以外別に書くことない。好きでしょうがない曲。

 

・Tears, Tears And More Tears

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これもトゥーサンの曲。ファーストリリースはリー・ドーシー(1970年)ですかね。個人的に一番ニューオリンズ感を感じる曲。

 

・Freedom For The Stallion

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これもトゥーサンの曲。ファーストリリースはリー・ドーシー(1971年)かな。「Near To You」と双璧名バラード。

 

・International Echo

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これはオリジナル。アラン・トゥーサンとしか思えないピアノが軽快なブギー。

 

・Ascension Day

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プロフェッサー・ロングヘアの曲をトゥーサンが短調に変えて、それにコステロが歌詞を付けたという曲。これ、めちゃくちゃ不思議な曲で、チャットモンチーの「素直」という曲に「サビがどこだかーわからない歌がー好きでしたー」という歌詞があるんですが、これもサビがどこだか分からない。でも癖になる。ちなみにこれ、東京で見たライブで演奏してたんですが、基本コステロのアコギのみのバージョンで(ピアノもあったけど)、こういうアコギだとコステロって結構上手いんだなと感心した記憶があります。

 

・All These Things

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これもトゥーサンの曲でおそらく一番古い。アート・ネヴィル(1962年)。なんとなくですが、この時代ならではの3連ロッカ・バラードという趣。

 

で、2007年はリリースがなくて、2008年に急に「Momofuku」がリリースされたんだっけ。次回はそれ。