日時:
2019/10/9
会場:
札幌文化芸術劇場 hitaru
メンバー:
山下達郎(Vo & G)
佐橋佳幸(G)
伊藤広規(B)
小笠原拓海(Dr)
難波弘之(Key)
柴田俊文(Key)
宮里陽太(Sax)
ハルナ(Cho)
エナ(Cho)
三谷泰弘(Cho)
セットリスト:
1. Sparkle
2. あまく危険な香り
3. ドーナツ・ソング(inc. ハンド・クラッピング・ルンバ〜Iko Iko〜Willie and the Hand Jive)
4. 土曜日の恋人
5. Paper Doll
6. Futari
7. サウスバウンド #9
8. 君は天然色(大滝詠一カバー)
9. Reborn
10. セールスマンズ・ロンリネス
11. バラ色の人生 〜 ラヴィアンローズ
12. Bella Notte
13. Smoke Gets In Your Eyes
14. Deck The Halls 〜 クリスマス・イブ
15. 蒼氓 (inc. Perple Get Ready〜Blowin' In The Wind〜希望という名の光)
16. ゲット・バック・イン・ラブ
16. Bomber
17. Let's Dance Baby (inc. 竹内まりやメドレー:不思議なピーチパイ〜もう一度〜けんかをやめて〜リンダ〜純愛ラプソディ〜毎日がスペシャル〜すてきなホリデイ〜元気を出して)
18. ハイティーン・ブギ
19. アトムの子 (inc. アンパンマンマーチ)
アンコール:
20. プラスティック・ラブ
21. 硝子の少年
22. Ride On Time
23. Down Town
24. Your Eyes
メモ:
さあ、ツアーも終わりレビュー解禁ですが・・・今年は本当に危なかった。
ファミマ先行発売は落選。
ファミマ先行で落選した場合に当選したことは今までないので、とうとう今年は無理かなと諦めていた。札幌のチケット発売前に、中野サンプラザ公演が風邪のため中止になったこともあって、遠征を視野に入れた人も参戦したことでなお倍率が上がっているのではないかということもあり、一般発売はかなり厳しいと覚悟してました。
まあ、それでも今年は、小樽ゴールドストーンでの激レアなアコースティックライブを見れたから、そこで運を使ったので外れてもしょうがないか・・・と思っていたんですが・・・なんと一般発売で当選するという奇跡。
ニトリ文化ホール(旧・北海道厚生年金会館)は昨年惜しまれながら閉館。今年は、札幌芸術文化劇場(通称 hitaru)というホールでの公演になります。キャパは2300人。客席が4階まであるホール。面積としてはそれほど大きくないが、天井までは高いので体積は大きい。いわゆるオペラハウスと呼ばれるハコらしいです。独立したホールではなく、札幌創世スクエアという施設の中の一部にあります。創世スクエアは、1年前にオープンしたばかりの施設。以前の職場のすぐそばだったので、場所としては馴染みがあるんですが、いかんせん建物がでかいので、創世スクエアの中のどこに hitaru があるのか、よく分からないまま当日を迎えました。独立したホールじゃなくて、施設の一部にホールがあるってのは、ミッドタウンにあるビルボードライブ東京なんかもそうですが、中に入ってから迷いがちです。
別の日にテレビ塔から撮ったhitaru。
ということで、6度目の山下達郎 Performance へいざ出陣。
厚生年金会館の時は外で並んでたのですが、今回は室内。まあそれほど寒い時期ではないのですがこれは結構大きい。冬に外で長時間並ぶのはかなりキツイので。ちなみに、今までで一番待ち時間に死にそうなくらい寒かったのがEX THEATER ROPPONGIでした。
今回は開場時間の30分前についたんですが、入場時の本人確認は開場前から行われていて、かなり手際が良くなってました。開場時間はあくまでもホールに入れる時間であって、その周辺までは開場時間の前に入って物販も買えるシステムになっていて、これもスムーズで良いですね。
「中に入ると、自動販売機、コインランドリー…いや、コインロッカーはありませんのでご注意ください!」と言っていた係員が微笑ましかった。まあランドリーは普通はない。
物販はいつも通りパンフとTシャツのつもりだったんですが、なんとご当地プレートがまだ売ってたという奇跡。今回は生産量が多めだったのか、はたまた運が良かったのか定かではなかったんですが、とにかくそれも購入。
座席はなんと4階席。かなり遠そうだな、と思いつつも、レアかも、なんてポジティブに捉えるようにしてました。さらに言うと、一度諦めていたので見れるならどこでも良し、という気分でもありました。
4階はでもかなり遠かったです。エスカレーターを何度も乗ってようやく着いた席は、めちゃくちゃ怖い席でした。自分は特に高所恐怖症とかではないんですが、それでも怖かった。
席はステージに対して右側だったんですが、内寄りの端っこの席。吹き抜けになっているので、1階まで一気通貫に見えるんですが、バランスを崩すと下まで落ちそう。スマホを落とす人は普通にいそうです。柵も一応あるんですが、腰より少しだけ上の位置なので、重心が高い。それがまた怖さを倍増させている感じです。
怖いと思ったのは自分だけでなかったようで、近くの座席の年配の方も怖がって席を代わってもらってました。なにやらBiSHがこのホールでやるらしいんですが、死人が出なければ良いなと願う次第です。
開演前のドゥ・ワップを聴きつつパンフを読みながら開演まで待ってたんですが、モノを落とさないように慎重に待ってました(笑)。
そしていよいよ開演。客電が消える。不思議なもので、暗くなると真下が見えない。すると恐怖心が無くなるんですね。それが逆に怖い!
そして、達郎氏はいつものように右手から登場。今年はエメラルドグリーンのシャツ。下は多分エドウィンとサイドゴアでしょう。
今年のオープニングは安定の「Sparkle」でした。これを聴くとまた来れて良かった、という気分になります。最近のコンサートのオープニングはほとんどこれなのでサプライズはありませんが、次の曲は何かと予想する自分がいます。
ギターで色々コピーしてると、イントロのコードを弾いた瞬間に何の曲か大体分かります。お久しぶりの「あまく危険な香り」。そして「ドーナツ・ソング」。
MCでは、レパートリーが増えすぎて削るのが大変とのこと。最近世の中が(SNSのせいで)殺伐としてるので、せめて明るい曲でも、と。
SNSの話はよく分かる。自分は昔Twitter中毒というくらいやっていたんだけど、震災後にやめて、今はたまーに見る程度だけど、いつもどこかで誰かが揉めてる(笑)。
「土曜日の恋人」はすこし前のツアーでもやってたけど、やっぱり好きな曲。シュガーベイブみたいで。
明るい曲を選んだと言いながら・・・とエクスキューズして、「Paper Doll」へ。この曲、アコースティックでは聴いたんですが、フルバンドでは初。後半は、難波→柴田→佐橋→宮里でループするソロ回し。4小節で交代なのでテンポが良い。
「Futari」も好きな曲。鳥肌立った。
ジャングルビートのシーケンスが流れた時は、これ知ってるけどなんだっけ?と一瞬混乱。ジャングル曲というと限られてくるけど、ギターリフを聴いて思い出す。「サウスバウンド#9」だ!
この曲はライブで演奏不可だと思ったけど、テクノロジーの進歩で演奏できるようになったとのこと。
確か、数年前のパンフでライブ演奏が不可能な曲に言及してて、この曲に関しては何も書いてなかったんだけど、どの辺が不可能な要因だったのでしょう?(誰かサンソンで質問してください)
「踊ろよフィッシュ」とか「ヘロン」は無理!って書いてたけど、これらの曲も演奏できるようになるのかな?個人的には「氷のマニキュア」が聴いてみたい。
そして、最近亡くなった方々のお話。青山純さん、村田和人さん、松木さんetc...、そして大滝詠一さん。
大滝詠一さんが亡くなってまもなく7回忌。達郎さんは今までそれほど大滝詠一さんについて追悼の言葉をほとんど述べて来なかったけれど、それには訳があって、それは4年前の「SONGS」の再発盤の時も言ってた話ですが、近すぎる存在だから故に、軽々しく話せない、ということでした。自分も父親が亡くなった時はあまりその事を話したくない気持ちが強かったけど、そういう感覚はかなり理解できるつもりです。さらに「ナイアガラー」のような原理主義的なファンが嫌いなので、わざわざ喜ばすようなことを言うつもりもない、とのこと。
そして、大滝詠一の曲を演るのは自分しかいない、という強烈な自負と主張。「昔、大滝さんとカラオケに行って歌ったときに、「この曲をお前にやる」と言われた曲を演奏する」というので、何かな?「ブルー・バレンタイン・デイ」はたまた「カナリヤ諸島にて」かな?と思ったらまさかのど直球「君は天然色」の完コピという。これはかなりのサプライズ。ネタバレ恐れてSNSと疎遠になってた甲斐があった。
この完成度たるや・・・。「毎回カバーが一番ウケるのが癪だ」と笑いを誘ってました。大滝さんの曲はこれからも僕は歌い継ぐ、と言っていたので、前回まであったベタベタ洋楽カバーコーナーは大滝詠一コーナーに代わるんだと思います。
次の曲は、「自分の中で重要な曲になる予感がしている」という「Reborn」。
「セールスマンズ・ロンリネス」は「COZY」発売のだいぶ前に作ったそうで、幼稚園児の娘さんとモスバーガーに行った時に閃いたとのこと。
幼稚園だったころなので、おそらく1990年前後でしょう。
そしてアカペラコーナーへ。
今の今まで知らなかったんですが、達郎さんは絶対音感がないそうです。歌から始まる曲なのでハーモニカで音程確認します、と一吹きして「ラ・ヴィアン・ローズ」へ。そして「Bella Notte」から間髪入れずに「煙が目にしみる」。相変わらず最後のロングトーンは鳥肌モノ(今年2回め)。
アカペラの後は「クリスマス・イブ」へ。この構成は様式美ですね。もう中盤か・・・とすこし名残惜しい感じもありつつ・・。
「クリスマス・イブ」は、僕が最初に聴いた山下達郎の曲です。おそらく、僕と同世代の人は僕と同じだと思います。この曲は当時、山下達郎の曲という枠を超えた超有名な曲で、未だに僕はそういう感じで、「あ、そういえばこれ山下達郎の曲だっけ?」みたいな不思議な感覚に陥ります。そして、この曲を聴くといつも中学生の頃に引き戻される。あの頃はこの超有名曲を生で何度も聴くようになるとはまったく思わなかった。
「クリスマス・イブ」の後は、「希望という名の光」もしくは「蒼氓」ですが、今年は「蒼氓」。
次は、「さよなら夏の日」か「Forever Mine」か「ゲット・バック・イン・ラブ」などのバラード系ですが、今年は「ゲット・バック・イン・ラブ」。
MCでは、来年のツアーはお休みという報告。理由は東京オリンピックで会場その他押さえられないとのこと。それとニューアルバム作成と新技術のお勉強とのこと。まだまだバイタリティがすごい。さらに旧譜のリマスターもやります、とのこと。ネガティブな理由じゃなくて良かった。ライブはお休みだがアコースティックライブは定期的にやるという。
「シティ・ポップ」というフレーズを達郎さんの口から聞くとは思わなかったのですが、Want Listのトップが山下達郎で世界中から探されているとのこと。本当かなー?と本人はおもったそうだが、ある日、中古盤店で「Go Ahead」のオリジナル・アナログ盤をわざわざアメリカから買いに来た30歳の男性に遭遇し、。Youtubeのおかげでそういう人が増えているんだそうな。「Youは何しにニッポンへ」というフレーズを達郎さんの口から聞くのも新鮮。
そのアメリカ人に遭遇した達郎さんがそのアナログ盤にサインすると、「なんとかしてライブに行くから絶対にこの曲を演ってくれ」と言われたそうな。その曲が「Bomber」。(ありがとう、名も無きアメリカン)
中盤の激しいカッティングからドラムソロは圧巻。そしてそのまま「Let's Dance Baby」になだれこむ。通常ならここでスタンディングになるんですが、4階席はマジで怖いんです。暗いから多少和らいでますが、やっぱり怖い。周りでも立っている人は数人。ただ端の人はやっぱり怖いのか誰も立ってませんでした。
ここで、私はクラッカーを忘れたことに気づきます。なんか色々忙しくて忘れてたんです。すると一人挟んで横に座っていた古参風のおじさまが、「クラッカーどうぞ」と渡してくれました。ありがとうございます。
恒例のメドレーは今回はまりやさんバージョン。大滝さんバージョンが多かったですが、まるまるコピーやったので、今年はまりやさんなのでしょう。
そのまま「今年もウケ狙い」とイタズラっぽい口調で、「ハイティーン・ブギ」へ。去年と同じパターンなので、今後はこれが定番の流れになるんですかね?
本編最後は「アトムの子」、途中アンパンマンマーチを挟むいつもの展開。アトムが2年連続。
アンコール後は、新しいホールについてのMCからスタート。達郎さんはこの hitaru のようなオペラハウスはあまり好きじゃないけど、鳴りが近代的でデジタルに合ってる、とのこと。
ここで山下達郎の三大原則をおさらい。
・テレビ出ない
・武道館やらない
・本書かない
あまりにも露出が少ないので「クリスマスイブ」の一発屋と思われてるけど、ものまねの人に頑張ってもらおう、と、ポセイドン石川に言及してました。ちょっと驚きましたが。
そして「本当はドームでやる方が効率的なんだけど、説得力が違う」と言います。よく考えたら自分がドームでライブを見たのは桑田佳祐ソロの一回だけなんですが、あまりにも遠いし、ラグもあるし、演出過多で消化不良なものが残ったのを思い出しました。
こうやってライブに足を運んでくれる人が自分のお客さんだと。「引き続きガチンコでよろしくお願いします」とのことでした。はい。
そして、再度シティポップの話へ。ある曲がYouTubeで2500万アクセスで、それも海外アクセスが殆どとのこと。
僕も10年くらい前から主張してますが、かつて、日本の音楽がレベル的に海外に通用しないとか言われてましたが、それはただ単に流通の問題であって、デジタル化とグローバル化でそれが解消された今、受け入れられてるということは、レベルの問題ではなかったということ。
良いものは国境を越える。そうでないものは超えない。それだけのこと。
レコードコレクターズの投書欄で日本人ミュージシャンなんて載せるなとか、BURRNなんかにも似たような投書があったらしいけど、そんな洋楽至上主義は本当にくだらないと思う。
海外から認められたから聴いてみよう、ってのもあまりにも欧米至上主義的で嫌ですが。
で、「プラスティック・ラブ」。
からの「ジャニー喜多川さんRIP」と言いながら「硝子の少年」に突入。この曲、アコースティックライブで聴きましたが、生は初。
「Ride On Time」のソロパートでは伊藤さんは「Smoke On The Water」、佐橋さんは「ピンク・シャドウ」の一節。やっぱり、毎度見ている演奏なんだけど、何度見ても飽きない。
メンバー全員が一旦集まって挨拶したあと、また持ち場に戻り、「Down Town」。「リメンバーシュガーベイブ」は今回はありました。
そして、「Your Eyes」で終幕。
で・・・書いたとおり、来年はツアーおやすみなので、再来年まで準備して待ちましょう。個人的には「Pocket Music」のリマスターが楽しみであります。