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俺の記憶ストレージ (Part 1 & 2)

溢れ出る 色の渦 巻き込む パレード デイドリーム

サーペンス・アルバス検証

高校生の頃に買った「ビートルソングス」という本は当時の自分に取ってバイブルみたいなもので、ビートルズの全213曲の解説が載っているのだが、最も面白かったのは作曲配分予想が載っていたところだった。ジョン・レノンポール・マッカートニーは連名クレジットで、単独作でもクレジットは「レノン/マッカートニー」になるが、実際の作曲にどちらがどれだけ貢献したか、ボーカルのパート割り振りや過去のインタビューの発言から推測した配分が記載されている。これがかなり面白い。「In My Life」はジョンもポールも自分が大半を作ったと思っていたりする。僕はボーカルがジョンなので普通にジョンかと思ってましたが。

 

今回、こういうのを僕はホワイトスネイクの「サーペンス・アルバス」でやってみたいと思いました。このアルバム発表後にはジョン・サイクスはデヴィッド・カヴァーデイルによりクビにされているわけです。以前の作風と比べればジョン・サイクスの影響があまりにも大きく、殆どジョン・サイクスのアルバムになっています。ただあくまでもホワイトスネイクはデヴィッド・カヴァーデイルのワンマン・バンドなわけで、やっぱり多少は影響力はあったのではないかと。それがどの辺なのかを個人的な推測により検証してみたかったわけです。ちなみにカヴァーデイルはアメリカの雑誌のインタビューで「95%はオレで5%がサイクス」と言ったそうな。(サイクス談)

 

デヴィッド・カヴァーデイルという人は基本的にはパートナーが必要な人です。パープルの時はリッチー・ブラックモアホワイトスネイクは当初はミッキー・ムーディとバーニー・マースデン。80年代中期からはジョン・サイクス、90年代前後はエイドリアン・ヴァンデンバーグ、2000年代はダグ・アルドリッチというように。そういえば1993年頃、サンダーからルーク・モーリーを引き抜こうとしたこともありました。そのせいでサンダーが解散危機になったり・・・。ルークはギターヒーローという感じじゃないんで、ソングライターのパートナーを探してたんだと思います。なので基本的にはパートナーが必要な人なんだと思います。というわけでサーペンス・アルバスも基本的にはジョン・サイクスがメインであることは間違いない。サイクス加入前の前作「Slide It In」や、自作の「Slip Of The Tongue」を聴けば明らかです。特に後者、サウンドはゴージャスでも楽曲のレベルがサーペンスアルバスのレベルに達してません。余談ですがボーカリストがリーダーのバンドって新陳代謝が可能なんですよね。演奏メンバーと作曲者をチェンジすると何回でも若返りが出来る。オジー・オズボーンしかり、ロニー・ジェイムス・ディオしかり、と。

 

はい、本題。

 

ランニングオーダーは日米盤に準拠しました。加えて1987バージョンについても同時期に作られた楽曲なので一緒に検証(というほどのものでもないですが)してみました。

 
白蛇の紋章~サーペンス・アルバス(紙ジャケット仕様)

白蛇の紋章~サーペンス・アルバス(紙ジャケット仕様)

 

 

Crying in the Rain  (Coverdale 100%)

これは「Saints & Sinners」からのリメイクでカヴァーデイルの単独作です。ただし、原曲と聴き比べると分かると思いますが、アレンジメントにサイクスが全力を注いだのは間違いないです。オリジナルバージョンとは迫力が全然違います。サイクスもこのアレンジが気に入っているのか、サイクスのライブでも演奏しています。ちなみに個人的にはカヴァーデイル単独作での最高傑作がこれだと思います。ハッキリ言って他の単独作は大した出来じゃないですが(ごめん)、これは奇跡の一曲。ちなみに1984年の西武球場でやったライブは既にサイクスが参加していますが後半のアレンジが違います。まだこの時は練りが足りない。

 

Bad Boys (Coverdale 20% - Sykes 80%)

サイクスのリーダーバンド、ブルー・マーダーの「Black-Hearted Woman」という曲がありますがそれにソックリです。つまりサイクス80パーセント。こういう、バッキングが全部ギターリフみたいな曲はギタリストが作った曲だと思います。この曲が奇跡的なのは、その上さらにコード進行やメロディまで秀逸ということ。ギターリフありきじゃなくて、骨格としての曲がベースとしてあってそこにギターリフを載せている。サイクスは天才だと思う。そもそもブルー・マーダーの1st自体、サーペンス・アルバスで曲を作ったのは殆ど俺だぞ、というのを主張したいがために作った感が満載です。

ただし「I'm a black sheeep of the family」という歌詞にはカヴァーデイルの心情が吐露されている気がします。「Black Sheeep Of The Family」というのは要するに「厄介者」という意味でクォーターマスの曲です。これがリッチー・ブラックモアズ・レインボーの1stアルバムでカバーされてます。リッチー・ブラックモアがディープ・パープルの「厄介者」となってしまい、脱退後に作った新バンドでカバーしているわけです。その時カヴァーデイルはパープルにいたわけですが、今自分がその立場になったぞということを言いたかったんじゃないかと。1982年頃、ホワイトスネイクは解散状態、1984年に再始動するも、ジョン・ロードコージー・パウエルが脱退してしまって、カヴァーデイル的には新バンドのつもりでホワイトスネイク再編。リッチーと同じ立場になっちゃいました、という意味なんじゃないだろうか。


Still of the Night (Coverdale 60% - Sykes 40%)

カヴァーデイルのツェッペリン憧れが曲に現れてますね。前作では「Slow And Easy」を(元ネタは「Nobody’s Fault But Mine」かな)、本作ではこれ(元ネタは「Black Dog」)、次作「Slip Of The Tongue」では「Judgement Day」(元ネタは「Kashmir」)といったところでしょうか。で、最終的にはジミー・ペイジとユニット組んでしまう(カヴァーデイル・ペイジ)、というオハナシ。で、何を血迷ったかホワイトスネイクのベスト盤にカヴァーデイル・ペイジの曲を収録してしまう。つまり、ジミー・ペイジホワイトスネイクのギタリスト扱い。俺、ツェッペリンの頭脳をギタリストにしてたんだぜ!というカヴァーデイルのなんというか、アピールがなかなか鼻につくのは僕だけでしょうか。ちなみに、サイクスのソロにツェッペリンライクな曲はこれ以降はありません。ただ、ギターリフとか中盤以降はサイクスが結構手を入れたんじゃないかな-と思います。なのでカヴァの割合若干高めの60%としました。英語版ウィキペディアによると、ディープ・パープル時代にリッチー・ブラックモアと作ったデモから引っ張り出してきた古い曲だそうな。たぶんリッチーにツェッペリンすぎるって蹴られたんだろうなぁ。サイクスもお気に入りでライブではエンディング近くで演奏する曲です。

 

Here I Go Again (Coverdale 40% - Marsden 60%)

これまた「Saints & Sinners」の曲なのでサイクスは絡んでません。ギターソロも聴いてお分かりのようにサイクスじゃなく、エイドリアン・ヴァンデンバーグ。なぜこのアルバムにこのリメイクを入れたのかという妄想は「Don't Turn Away」の項に記載しました。


Give Me All Your Love (Coverdale 90% - Sykes 10%)

曲調から考えてカヴァーデイル主導のような感じです。これ以前の、メタル化する前のホワイトスネイク感がありますね。本家ホワイトスネイクでは頻繁にライブで演奏されますが、サイクスは全く演奏しないってのも根拠の1つです。あと、サイクス脱退後にヴィヴィアン・キャンベルのギターソロに差し替えられた'88 Mixというバージョンが作られています。この辺は、カヴァーデイルの「俺の曲だぞ!」という主張なんでしょうかね。俺の曲だから差し替えるぞ!という。

 

Is This Love (Coverdale 20% - Sykes 80%)

こういうm7やadd9th、分数コードが飛び交う曲ってのは楽器やってる人ですよね。こういうAOR的な曲調も以前のカヴァーデイルにはないし、サイクスは実はバラードの名手でフィル・ライノットと一緒に「Please Don't Leave Me」書いたり、「Loveland」というバラードだけのアルバム作って、似た系統の「Everything I Need」みたいな曲を書いてますので、おそらくサイクス主導なんじゃないかと。少し気になるのは、この曲はそもそもティナ・ターナーに書いた曲を自分たちで演奏したらしいです。サイクスとティナ・ターナーの接点がなさそうなのが気になります。まあでもコンビを組んだ後にオファー受けたのかもしれないし・・・。よく分かりませんが曲調としてはやっぱりサイクスっぽいかなと。 

 

Children of the Night (Coverdale 20% - Sykes 80%)

 これはもう「Bad Boys」の兄弟みたいな曲なのでサイクス80%としました。歌詞に「boys are back in town」ってあるのがミソですね。シン・リジー。歌詞にサイクスが関わっているのかもと思ってしまいました。


Straight for the Heart (Coverdale 50% - Sykes 50%)

これは難しいですね。カヴァーデイルも過去に「Lie Down」とか「Guilty Of Love」みたいな明るい曲を書いてますし、サイクスも「Nothing But Trouble」以降に明るい曲が結構あります。なので50%-50%。これ結構好きなんですけど、お互いライブでは演奏してないっぽいですね。


Don't Turn Away (Coverdale 70% - Sykes 30%)

キレている曲だらけの中、若干インパクトが薄い(悪くはないけど)のとメロディがカヴァーデイルっぽい気がしました。完全に推測ですが、思うに、おそらく「Here I Go Again」の続編を作りたかったに違いない。が、そこまでの完成度には至らなかった。だったら「Here I Go Again」をリメイクしちゃえば良いじゃん。あれ?でもギタリスト(サイクス)クビにしたばっかりだな・・・。よしツアーメンバーのエイドリアン・ヴァンデンバーグに弾いてもらおう。ということで、「Here I Go Again」が入ったに違いない。ボツにするのも惜しいからここに入れた、と。すみません憶測です。

※しかし「Here I Go Again」のギターソロ以外はどう聴いてもジョン・サイクスが弾いてるからこの憶測は外れ。

 

ここから「1987バージョン」の2曲を。


Looking for Love (Coverdale 20% - Sykes 80%)

ブルー・マーダーの「Out Of Love」に雰囲気が似ているのでおそらくサイクス主導だと思われます。

 

You're Gonna Break My Heart Again (Coverdale 50% - Sykes 50%)

これは難しいですね。「Fool For Your Loving」とか「Standing In The Shadow」に雰囲気が似てるんですよね。で、「Don't Break My Heart Again」という曲もあるという。ただ、ブルーマーダーの曲と言われれば、なるほどという気もする。要するにさっぱり分かりません。半々にしました。好きな曲です。特にバッキングのギターが凄い。このバッキング全編ギターリフを聴くとサイクス主導のような気もするけど、やっぱりメロディにカヴァーデイルの趣味が出てる気も。

 

とまあ、こういう結果になりました。

 

いやー、かなり久しぶりにこのアルバムを通して聴きました。20年振りくらいかも。今回の件と全然関係ないですが、ジョン・サイクスのギタープレイを聴いていて思ったのは、今年始めに亡くなった村田和人さんの1986年作品「Show Must Go On」のギタープレイ、ギターサウンドとソックリだなと。ひょっとしてサイクスが弾いているのかと思って調べてみたんですが違いましたね。

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44マグナムのジミーさん(広瀬さとしさん)でした。ジミーさんはジョン・サイクスのファンらしいです。どうりで・・・使っているギターもレスポール・カスタムですしね。それにしても村田さんのこの曲、異色だなぁ。異色すぎる。実際にレコーディングされたのは1984年らしいです。どことなく村田さんの歌い方もいつもと違う感じ・・・。デヴィッド・カヴァーデイルっぽいです。ギターはジョン・サイクスっぽい。ギターソロは「Guilty Of Love」のサイクス・ライブバージョンに似ている。ひょっとして直前にスーパーロック'84のホワイトスネイクのステージを見たとか??

 

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そういえば自分もこのサイクスバージョンの「Guilty Of Love」にハマってコピーバンドでコピーしたなぁ、とふと思い出しました。

 

ビートルソングス(新装版)

ビートルソングス(新装版)