俺の記憶ストレージ Part 1&2

色事を担当する色男

Deep Purple In Jazz

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メタリカのラーズ・ウルリッヒ曰く、

「ディープ・パープルはすごいライブ・フォースだった。テクニックの面で達人として知られ、彼らのライブは毎晩、違うんだ。前の夜とも違うし、次の夜とも違った。伝説の衝動力、予測不可能なリッチー・ブラックモアは、いつだってバンドを違う方向へ導いていた。メンバーの間に興味深い押しと引きがあり、ジャズの領域へ踏み出す夜もあった。ほかとは全く違うものだった」

 

ラーズは分かっている。パープルのライブ、あれはジャズにかなり近いところがある。特に第2期。第3期もそういう要素がないでもないが、ややファンク/ソウル要素が入り、ジャズ的なものは減った。再結成以降はもはや長尺な演奏も減り、オーソドックスなハードロックと言っても良い。ジャズ的なものはあくまでも第2期(とわずかに第3期)に限る。

 

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例えば、パープルの中でもブルースとして有名な「Lazy」。ジャズじゃねぇブルースだよこれ、と言われそうだが、ハードバップにもブルース進行のものはたくさんあるから別に良いのだ。勿論ながらサウンドはハードロックそのものですが、構成がジャズ的。かの有名なリフは、一般的なリフというよりかはテーマに近い。ソロ回しもジャズ的。あとイアン・ペイスのドラムはいつもスウィングしてますね。直球ハードロックの名曲として有名な「HIGHWAY STAR」でさえ、ライブの時はスウィングしている。ちなみにこの「Lazy」は「Live In Japan(海外ではMade In Japan)」のテイクですが、イントロでジョン・ロードがジャズそのもののフレーズを弾いている。

 

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↑このころはギブソンES-335だったリッチー。ちなみにリッチーはギブソンは適当に弾いてもカタチになるけど、フェンダーはきちんと弾かないとならないから大変(大意)と言ってた。

「Wring That Neck」。アルバムでは「Hard Road」なんて書いてたりもします。これは第1期パープルの曲を2期のメンバーで演奏しているもの。2期と言ってもボーカルの出番がないのでベーシストがニック・シンパーからロジャー・グローヴァーに変わっただけだ。これもリフというよりかはテーマ。で、ソロを回し続ける。ライブによっては30分近い演奏の時もある。この頃のリッチーは第3期のように手癖連発ではなく、というかこの頃も手癖かもしれないが、手癖のバリエーションが豊富なのだ。次々と信じられないほどカッコいいフレーズが飛び出す。パープル後期からはバリエーションがかなり減ったんじゃないかという気がする。だから僕がギタリストとしてリッチー・ブラックモアが好きなのはまさにこの頃。

 

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「Space Truckin’」。聴きどころは本編後のインプロヴィゼーションのフェーズ。第1期だと「Mandrake Root」の後でこのインプロヴィゼーションに入ってましたが、「Machihe Head」リリース後はこの曲になりました。

ワンコードでスケールを変えながら延々とソロを取り続けます。モード・ジャズ風ですね。イアン・ペイスの手数の多いドラムも僕なんかはトニー・ウィリアムスを思い出したりもするんですが。いやーそれにしても凄まじい演奏。若干この映像はエディットが入っていてジョン・ロードのソロの後のリッチーに移行する時に不自然なリフが入ってますが、おそらくここがエディットされてます。いつもは抑えた演奏で、ヴァイオリン奏法でソロを取る箇所です。そこがカットされているはず。

 

↓こんな感じで。

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 ↑このころはブラックのフェンダーストラトキャスター。定番のホワイト(ベージュ?)ではないです

 

パープルを聴いたのが高2の頃。最初はベスト盤「Deepest Purple」と「Machine Head」と「Burn」を聴いたのです。その後に廉価版で出た「Live In Japan」を買ったのですが、7曲しか入ってないのに収録時間が70分を超えている訳ですね。これはどういうことかと。この時代(70年代前半)は1曲の演奏がかなりの長尺だったということですね。同時にビートルズコステロも聴いていてそっちはかなり短い曲ばかりなので、両極端なものを聴いていたわけですね。

 

この頃のパープルを良く聴いていたおかげで、ジャズ聴いてみようかなと思って聴いた、アート・ブレイキーの「バードランドの夜」も全然抵抗なく聴けた訳です。

 

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僕とジャズの出会いは、パープルを聴いてから10年後に聴いたこの曲、「Split Kick」。ここからキャノンボール・アダレイの「Somethin' Else」に行って、マイルス・デイヴィスに出会うわけです。