俺の記憶ストレージ (Part 1 & 2)

溢れ出る 色の渦 巻き込む パレード デイドリーム

ダサいとかダサくないとかどうでもいいです (Part 1 & 2)

時計の針を20年前に戻します。

 

時は1995年。僕は18歳だった。この年の1月阪神大震災が起こり、学校から帰ってきてテレビを点けたら神戸が火の海になっていた。僕はそれを食い入るように見ていた。そして高校を卒業し、クラスメイトで行った卒業旅行から帰ってきた翌日、家族がなにやら居間で騒いでいるなぁと思って起きて、テレビを見たら地下鉄サリン事件が起こっていた。世の中的にはそういう年だった。

 

僕は大学1年生になっている予定だったけど受験に失敗。お金が無いので私大の滑り止めを受けておらず、自動的に浪人生となった。浪人生と言えどもバイトくらいやって金稼がないとな、と思って受けたのが国立の某巨大賭博施設の警備員の仕事だった。バイトはあっさり受かった。僕が配属されたのは警備員からの無線を受けて偉い人につなげる中継係。つまり内勤だった。そこに一緒に配属されたKという人がいた。Kの年は1つ上で大学2年生。だけど「タメ口で良いよ」とか感じのいい人だった。なによりもKは音楽に詳しかった。特にハードロック/ヘヴィメタルにすこぶる詳しかったのだ。その頃の僕の趣味嗜好は、ビートルズエルヴィス・コステロ、ディープ・パープル。ハードロック系で詳しいと言えるのはクラシック(≠音楽のジャンル)なものばかり。ディープ・パープル、ZEP、サバス、QUEENとかそれくらいだったところ、VAN HALENやらジューダス・プリーストやらアイアン・メイデンを貸してくれたのは彼だった。おなじ所に配属していたYという先輩(大学4年生)も音楽好きで、バイトが終わった後は専らこの3人でつるむことが多かった。やがてY先輩は大学卒業と共に建築会社に就職し、バイトを辞めてしまうことになった。

 

僕はと言えば一浪の末、大学に合格した。Kは大学入学のお祝いにうな重を奢ってくれた。ここまでは結構仲が良かったのだが、次第にKは態度が変わっていく。ま、簡単に言うと人が大勢いるところでは先輩風を吹かせてしまうようなところがあって、僕はそういうところがあまり好きではなかった。それでも音楽好きの同士だと思っていたので、いろいろ音楽談義はしていたのだが、出会って2年程経った頃に、「まだハードロックなんて聴いてるの?ダサーい!」とオカマちゃんみたいな口調で言い出した。「なんだなんだ?合コンで女子になんか言われたのか?」と思ったが、彼の中では既に「ハードロック=ダサい」という公式が成立してしまっていたようで、これを境に彼と音楽の話をするのを辞めたし、これを機に疎遠になった。彼が大学卒業するまでバイトは同じだったが、卒業後どうなったか消息は一切知らない。

 

僕は昔からこういう発想が苦手で、「この音楽を聴いていたら誰からどう思われるか」みたいなことは考えず、単純に個人の趣味として聴いていた。Kの場合は多分そういう事が支配的になっていたんだろうなと思われる。余談だけど、彼はよく手が震えていた。内勤の人だけに割り当たったショートケーキが手の震えで崩れるほどの震え方だった。かなりの緊張しいなんだろうなと。自分を目一杯装飾することが緊張を誘発していたんじゃないだろうか。まあ推測だけど。

 

僕は世界最速の速弾きギタリストという触れ込みのクリス・インペリテリのバンド、「インペリテリ」のアルバムを聴いてからハードロック/ヘヴィメタル系に見切りが付いたんだけど、それはダサいからとかそういう理由じゃなくて、同じものばかり聴いてもしょうがないという理由。イングヴェイ・マルムスティーン的なネオクラシカルなものも趣味嗜好に合わないから聴かないだけで、周りがダサいと言っているからじゃないのだ。

 

「良いモノは良くて、好きなモノは好き」というただそれだけのこと。周りにどう思われるかなんて関係ないんじゃないかと思うんだけど。

 

つい数年前も、「ユニコーンは俺が中学生の頃、みんな好きだったから俺は嫌い」みたいなことを言う人に遭遇したし、僕がヒットチャートに興味を無くしてビートルズ周辺に熱を挙げていた頃、あれは1994年頃だったと思うけど、弟がバスでヘッドフォンの激しい音漏れに遭遇したらしく、自分に「ヘッドフォンから音漏れてるんだけど、それがBOOWYなんだよね。今時BOOWYとか終わってるでしょ。」と言うのである。「ん?何が?」と言うと「何年前の音楽なんだよ」と言う。「俺、今ビートルズ聴いてるんだけど30年くらい前の音楽だよ」と言うと「いや違う、BOOWYがダサいってことだよ」と言う。「そんなのお前の価値観じゃないの?人が何聴いても良いんじゃないの?」「・・・噛み合わないから、もう良いわ」とまあ、こんなやりとりがあって、要するに「思春期の頃に聴いていた頃の音楽が恥ずかしい」という感覚なんだろうと思うけど、僕はやっぱり隅から隅まで聴いてきたモノだし愛着もあるわけで、そう簡単に自分を形成したものをバカにしたくはないのですね。そういや、数年前にBOOWYのLAST GIGSのDVD完全版を買った時も誰かに言われたな・・・「なぜ今BOOWY?」と。BOOWYを聴いちゃダメなタイミングって逆にいつなの?と僕は問いたい。

 そういえば大学生の頃、軽音楽部の後輩がGLAYを演奏しているのを聴いて、GLAYって自分の苦手なビジュアル系だと思ってたけど音楽的には違うんだな、結構好きかも、と思って割と聴いていた時期があったんだけども、その後輩が1年後くらいにレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのコピーバンドを始めたと同時にGLAYなんてダセーよ、と言い出したってこともあったな。

最近発売されたディープ・パープルの文芸誌なんかでも哲学者?なのか評論家か分からないけど、そういう立場の人が「パープルはB層が聴く音楽」などと書いて小バカにしている(これが気に食わなくてこの本買わなかったのだ)。で、この人が書いてる別の本では、「簡単に言うとAKBとエグザイルを聴くような人がB層です。B層が日本を滅ぼす!」みたいなことを書いて、一方自分は「我こそがC層である!」なんてやってる。僕は人の趣味嗜好で頭が良いとか悪いとか単純に仕分けなんか出来るはずがないと思う。”言わばエゴとエゴのC層ゲーム"状態であります(旬のミスチルの歌詞パクりをしてしまった)。こういうことを言う人がいるから、周りにどう思われるかというしょうもないことがプライオリティの最上位に来ちゃう人が増える。

 

某有名音楽雑誌Rの編集長もツェッペリン以外のハードロックを小バカにしている。個人的大名盤であるルーク・モーリーのエル・グリンゴ・レトロ収録のアル・グリーン風のバラードを聴いても、サンダーってのはセーソクが好きなメタルバンドでしょ?みたいなスタンスで、実際の音なんかどうでも良くて、進歩がなくてダメー!みたいなことを言ったりする。(そんな彼が絶賛して紹介してるのがオールドスクールなストライプスってのが僕には全く理解できない)

 

その雑誌RはレビューでB’zを小馬鹿にしているのを読んだことがあるし、というか基本的にその雑誌はその雑誌に載っているミュージシャン以外を小馬鹿にするスタンスだ。

 

ヘヴィメタル専門誌BもB’zを馬鹿にしBOOWYも馬鹿にし、なんと専門であるはずの日本のヘヴィメタルバンドをバカにしてきました。つい先日、初めて日本人が表紙になりました。それがラウドネス高崎晃。これをライターが「機が熟した」とか書いていたけど、ラウドネス自体はもうずーーーーっと前から人気のバンドですけどね。ヤングギター誌なんてずっと前に表紙にしてるわけだし。

 

あと、ドイツのヘヴィメタルバンド、かつてはジャーマンメタルバンドと呼ばれていたけど、そういうジャンルの人たちは同郷のスコーピオンズが恥ずかしい存在で、バカにしているらしい。音楽的にはルーツなのかと思いきや、本場はイギリスやアメリカじゃん、ドイツのバンドなんてダサいよね、みたいなノリなのかな?

 

大滝詠一さんは某MM誌でシリア・ポールの「夢で逢えたら」で、アイドル歌手をプロデュースしたことを揶揄されたようだ。このアルバムは1977年発売。それから数年後、アイドルのプロデュースにニューミュージック系の作曲家が増え、MM誌にアイドルばかり載るようになったようだが、大滝さんがこれに「どういうことなんですかねー」とチクリと言っていたのを聴いたことがある。


そのMM誌も、ももクロやでんぱ組やきゃりーは表紙にするのにAKBは特集しない。もう落ち着いてしまった感があるけど、2010年代のアイドルブームのキッカケは誰がどう考えてもAKB。なんなんでしょうこれは。僕らの子孫が見たらビックリするでしょう。「当時AKBはそれほど流行ってなかった論」みたいなの出てくるんじゃない?最近はやりの「実はビートルズ流行ってなかった論」みたいな。

 

ま、こうやって他人の聴く音楽をバカにする輩がいるから、何聴けばダサくないか、という人が増えてもおかしくはないけど、でも本当はおかしいんですよ、それって。

 

で、ここからは僕が尊敬する評論家のことも書いちゃいます。

 

ライトメロウシリーズというコンピレーションがありまして、まあ僕はまだ買ったことはないんですが、タワレコの店頭でよく見たり、去年のサンデーソングブックで特集されたり、ついこの前のレコードコレクターズでも特集されてたりして、ここ数年でAOR的なものに対するアレルギーがすっかり無くなった自分にはとても気になるシリーズではあります。

 

このシリーズを監修してるのが金沢寿和さんという人で、この人のブログを読んでるんですがこれが面白い。何が面白いかって、紹介しているアルバムが、ブログタイトル通りライトメロウな70年代後半から80年代の和モノAORとか洋物AORに限ってるのかと思いきや、それがそうでもない。ここに、レインボーやらブラックサバスやらスコーピオンズやらホワイトスネイクやらモントローズやらが出てくるから侮れないのです。初めて見たとき目を疑いました。レインボーにAOR的な要素あったかな?って。

 

この方、齢は私より一回りほど上の方ですが、ハードロック系をリアルタイムで聴いてきたらしく、そういう出自を全く隠そうとしない。ある時期からAOR的なモノに目覚めたようで、それまではハードロックもよく聴いていたということみたいです。僕は全然リアルタイムではないですが金沢さんのハードロックの好みと似てるんですよね。所謂、伝統的なハードロック。前述したように「ハードロックなんて・・・」みたいな感じでバカにする人が多い中、彼はまったく隠そうとしない。で、今でも「聴くと血が煮え滾る」みたいなことを書いたりする。偽装、カモフラージュ、過度な装飾が跋扈するこの御時世、なんて素晴らしい態度なのかと思わずにはいられません。

 

ちなみに、最近リリースされたソニー編の「ライトメロウ・ネオンナイツ」って、ブラック・サバスのネオンナイツから取ったのかな、なんて。金沢さんのブログ読んだ後だとそうとしか考えられない・・・。

 

Light Mellow Neon Nights

Light Mellow Neon Nights

 

 

まあ、サバスの方は騎士のナイツですが。僕の敬愛する探偵!ナイトスクープも騎士の方です。

 

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これがネオン・ナイツ。昔コピーバンドでコピーしました。

 

ちなみに、僕の中で最近好きなライトメロウな曲はこれ。

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アイズレー・ブラザーズのT-Neck時代のボックス・セットはオススメですよ。