先週、予告通り、「佐橋佳幸の仕事」を購入しました。
GEISHA GIRLSの「少年」まで佐橋サンだったとは・・・当時このアルバムかなり聴いてたので驚き。「ステップナー」はダウンタウンの映像無しコントの最高峰だと思う。
それはさておき、氷室京介の「魂を抱いてくれ」も収録されてますが、これが収録されているアルバム「Missing Piece」は、曲ごとのクレジットじゃないので、これのギターソロ誰なんだろうと思っていたら佐橋さん。スティーヴ・スティーブンスが弾いたライブバージョンも捨てがたいけど弾きすぎの気もする。スタジオバージョンのギターソロが最近は好きだった。いやーそれにしてもこれも佐橋さんだったか。「Missing Piece」は佐橋さんがプロデューサーなんですよね。
「伊藤銀次のPOP FILE RETURNS」の先週、先々週のゲストが佐橋さんで、ヒムロックの話もしていたのだけれど、「佐橋さんとヒムロックは意外な取り合わせ」と銀次さんが言うと(銀次さんも『ヒムロック』と呼んでいて新鮮!)、「いや、ソロの最初から僕手伝ってますから」と言うではないですか。あれそうだっけ?と思い、「Flowers For Algernon」のブックレットを見てみると、確かにクレジットがある。クレジットは3名。チャーリー・セクストンと下山淳と佐橋佳幸。「Angel」は確かチャーリー・セクストンだった気がするので、その他の曲は下山さんか佐橋さんである。「Stranger」のリフは佐橋さんっぽい気がするけどどうなんだろう。
「Neo Fascio」のギターは佐久間正英さんなので佐橋さんはなし。「Higher Self」は当時率いていたSP≒EEDの面々オンリー・・・かと思ったら佐橋さんが結構弾いてるらしい。これも知らなかった。「Jealousyを眠らせて」のサビ裏で鳴っているギターシーケンスが大好きだったんだけど、これも佐橋さん?
「Memories Of Blue」も全体クレジットに名前がある。しかも筆頭。ひょっとして、当時リフのあまりのカッコよさに衝撃を受けた「Kiss Me」のイントロも佐橋さんなのか・・・?あのかっこいいギターソロも佐橋さん?このアルバムのブックレットにアレンジャーは記載されていないが、AORっぽい路線は佐橋さんの影響なんだろうか。
5thの「Shake The Fake」はギタリストとしてだけではなく、アレンジャーとしても名を連ねる。まあ4thですでにやっていた可能性も否定出来ないが・・・。6thの「Missing Piece」で満を持してプロデューサー兼共同作曲者。これが氷室史上、最もAOR色の強い一枚。若いころは、氷室がAORやらんでも・・とか思ってたんですが、今聴くと良いんですよね、これが。
このあとヒムロックは渡米してスティーヴ・スティーブンスをギタリストとして迎え、コンテンポラリーなアメリカン・ロック色が濃くなります。スティーヴが抜けた後もアメリカのミュージシャンが多く、渡米前と渡米後では明らかに音楽性が変わった気がします。個人的な趣味からすると渡米前の方が好き。
ここからが本題なんですが、氷室と言えば元祖ビートロック。日本ビートロックのカリスマ、源流と言っても良い。その氷室にもAORな側面があるんですよ、ということも書き記しておきたかった。そしてそれに佐橋さんが深く絡んでいるんじゃないかと、「佐橋佳幸の仕事」を聴いて思ったのですね。
それで、僕の好きな「氷室京介AORサイド」を集めてみたくて書いているという次第です。
年代順に行きます。
・独りファシズム (from "Flowers For Algernon" 1988)
作詞は泉谷しげる。作曲は氷室本人。当時、「えええ、泉谷しげる??」と驚いた記憶があります。雰囲気としては南佳孝の「スローなブギにしてくれ」とか、「Need Your Love So Bad」にも似ているかもしれません。リフは「Oh! Darling」的というか、ブルースの基本テンプレなやつです。
・Misty 〜微妙に〜(from "Misty 〜微妙に〜" 1989 & "Neo Fascio" 1989)
昔はタイトルどおり「微妙」と思ってましたが今聴くと良いですね。当時僕はこれよりもC/Wに入っていたエルヴィス・コステロの「Accidents Will Happen」のカバーに夢中だったのです。ちなみに「微妙」というワードを流行らせたのはこの曲かなと思ってたんですけど、時は1986年、うしろゆびさされ組が「バナナの涙」で「女の子の気持ち BI MYO O」と歌ってるんですね。恐るべし秋元康。
・Lover's Day (from "Jealousyを眠らせて" C/W 1990)
ま、AORというかバラードですが。氷室のバラードで一番好きな曲。これはリアルタイムですね。中2の思い出が蘇る。C/Wにこんな凄い曲入れてなんて凄い人なんだと当時思いました。
グッとAORさが増す4thアルバムからが本番。
・Urban Dance (from "Urban Dance" 1992 & "Memories Of Blue" 1993)
これは衝撃の問題作でした。なにしろビートロックを期待しているキッズが「氷室の今度のシングル、サビがねーよ」と騒いでいたのです。ご多分に漏れず、僕も「なんか微妙・・・」とか言ってたんですが、今聴くとCool。この辺からAORへの急接近が始まります。
・Good Luck My Love (from "Good Luck My Love" 1992 & "Memories Of Blue" 1993)
これ、僕は不遇のシングルと呼んでます。なんせシングルなのにライブで披露されてない(多分、そうですよね?)。思うにサビのキーが結構高いからじゃないかな・・・?
曲調としてはミディアム・テンポのポップスですね。バラードまで行かない。ビートロックではない。で、16ビート。こういう曲はそれまであまりなかった。氷室流ウォール・オブ・サウンド。
・You're The Right(from "Kiss Me" C/W 1992 & "Memories Of Blue" 1993)
「Memories Of Blue」というアルバムは冒頭「Kiss Me」というBOOWY直系のビート・ロックですが、2曲目がいきなりAOR。名曲です。
・Memories Of Blue(from "Memories Of Blue" 1993)
アルバムのタイトル曲にもなってライブでも幾度も披露されている氷室お気に入りのAOR。僕はサックスが入っているだけで、当時「あぁー(ネガティブ)」と思ってました。これも年取ってから好きになった。サックスは元T-SQUAREの本田雅人氏。
・Lost In The Darkness(from "Shake The Fake" 1994)
この荘厳なイントロのAORは、なんと東京ドームでのライブのオープニングナンバー。氷室といえばスピードロックで始まるのが定番だったのに、まさかのミディアム・ナンバー。さらにPVまで作っているということはヒムロックのお気に入りっぽいです。
・Don't Say Good Bye(from "Virgin Beat" C/W 1994 & "Shake The Fake" 1994)
シングル”Virgin Beat”のC/W。”Virgin Beat”はサビ以外は良いけど肝心のサビがイマイチだなぁとあまり好きじゃなかったんだけど、この曲は好きだった。ちなみにアルバムとシングルのアレンジが全然違います。アルバムの方が好きだな。
・Pleasure Skin(from "SQUALL" C/W 1996 & "Missing Piece" 1996)
AORといって良いのか微妙ですが、アダルト・オリエンテッドな路線であることには間違いない。ブレイクビーツ的なドラムパターンとホーンが印象的なヘヴィ・ファンク。これは佐橋さんとの共作。「Lonesome Dummy」「Re-Born」などファンクな曲はなくはないのだが、これは最もアダルト・オリエンテッドなファンクチューン。リフがカッコいい。
・Midnight Eve(from "魂を抱いてくれ" C/W 1995 & "Missing Piece" 1996)
これは完全なるAOR。頭から終わりまで完全無欠のAOR。氷室のAORといえばこれ。BOOWYしか知らない人が聴いたらビックリしますよね。
・Missing Piece(from "STAY" C/W 1996 & "Missing Piece" 1996)
アルバムのタイトル曲です。これもまた佐橋さんとヒムロックの共作。アルバム・タイトルにするくらいだからお気に入りなんでしょう。これもドラムパターンとか、もろAORですね。僕はサビ前のBメロが好き。
・堕天使(from "I-DE-A" 1997)
渡米したことで一気にハード・ロック色が強くなった「I-DE-A」ですが、ここにもAOR的な楽曲が。途中、この頃流行っていたデジロック的な雰囲気になるのはスティーヴ・スティーブンスの影響かな?と思います。作詞は松本隆。
AOR的なものがあったのはこの辺までですかね。この後、バラードはあってもAOR的なものは減ったような気がします。あったら教えて下さい。
おしまい。