普段、歌詞は二の次で、サウンドしか聴いてない自分でも、歌詞が妙に耳に残る曲というのはあります。
つい最近では、椎名林檎の「ありきたりな女」という曲です。曲自体も大変ドラマチックな展開ですが、その最後の歌詞が妙に耳に刺さります。
Shiina Ringo (椎名林檎) - Arikitarina Onna (ありきたりな女; Ordinary Woman) 09 - YouTube
「さよなら あなた不在の かつての素晴らしき世界 Good Bye」
この曲、最初、何を歌っているのか分からなかった。
「あなた不在」とはどういうことなんだ?誰か死んだのか?いや、「かつて」があるから時系列的にはそうではない。
歌詞を遡り、改めて聴いてみてようやく分かった。
「あなたの命を聴き取るため 代わりに失ったわたしのあの素晴らしき世界 Good Bye」で、ああ、なるほど、と。
本来こういう曲に登場するキーワードは、母親、出産といったところでしょうが、この曲の歌詞には、そういう単語は一切登場しない。
かつての出産ソングといえば、「こんにちは、赤ちゃん、私がママよ」でしたが。
ただ、出産ソングと分かってからも、やはり歌詞に引っ掛かりがあります。
一般的な感覚で考えると、子供が生まれた後を「素晴らしき世界」と表現してもおかしくないですが、生まれる前の「素晴らしき世界」にGood Byeと言っています。
全部の歌詞を読むとよく分かりますが、この歌詞の主人公(≒椎名林檎)も母親からの愛情を受けてきたことが窺い知れます。それを「素晴らしき世界」と表現していて、そしてその「素晴らしき世界」を今度はこの主人公が与えるターンがやってきたと、自分はそういう風に解釈しました。
うーん、すごいですね。「NIPPON」の歌詞にゴチャゴチャ言っている場合ではないですね(僕は言ってないけど)。2014年最大の名曲が来てしまいました。
歌詞が耳に残るといえば竹内まりやの「TRAD」に収録された「たそがれダイアリー」。
「少しづつ ほら 二人の人生が 暮れ始めてる」という歌詞が耳に残ります。
竹内まりやさんは、見た目がかなり若いですが、御年59歳です。この人が凄いのは、サウンドからは年齢をまったく感じさせないのに歳相応の歌詞を書き続けていること。
マンネリ夫婦を歌った「家に帰ろう」は37歳、
ほんとうは45歳と歌った「心はいつでも17歳」(オチが秀逸)、
満開の桜をあと何回見れるだろう?と歌った「人生の扉」は52歳の時。
そのくせ「Majiで恋する5秒前」(42歳)を書けちゃうところが本質的に作家なんだなーという感じですね。